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ニュジェルム
ケリック(Kerick)へ
私が歓楽の街、ニュジェルムを訪れたなんて信じられるだろうか?私自身もそうなるとは思っていなかったのだが、信じてくれ、冒険の成り行きでこの地を訪れることになっただけなのだ。そして、街には私がこれまで経験してきた以上の冒険があったのだ
ニュジェルムは、ジェロームからの入植者によって遙か昔に確立されたと聞いている。しかし、植民地としては、その親都市から遠距離であったため成功せず、その後はその機能を自ら開拓せざるを得なかったようだ。勤勉な最初の入植者が去ると、次にやって来たのは海賊達であるが、入植者の生き残りからは得られる財はほとんどなく、広い地域を拘束することも出来なかったのは言うまでもない。街並みは見た目には非常に美しく、地元の人々が身にまとう薄い布にも繊細な装飾が施されている。確かにその衣類は自分の厚着に比べて快適そうに見えたことは認めるが、それでも私はそれを決して身に付けたいとは思わない。それは敵の剣や太陽光線から身体を守ることもなく、彼等に人気の肌を褐色にそめることのためだけにあるようだ。
私はそれが美徳であるのか悪徳であるのかは知らないが、彼等は全く気ままな者たちのようだ。彼等は私達が石鹸でも使うかのように魔法を何も考えずに使う。一度は埃が光りながら舞い上がり消えるのを見た。私が廊下を横切ると、私がこれまで一度も腕を通したことがないほど自分の服が柔らかく、そして輝いて見えたこともあった。また彼等の島では魔法に関係のない道具もあちこちで見られるが特別な利点を得ているものはないように思われる。
ニュジェルムは、中身のない表面的な輝きに溢れた、金持ちが散財する土地である。ここでは洒落たカクテル以上のものを作り出されることはないし、専制君主によって支配されていることに満足しているかのようにも見える。しかし、白い壁と大理石の柱の向こうには、悲しく卑しいすべての軽薄さの裏腹が潜んでいるようだ。逃避の機会もなく素朴な生活を営むことさえも必死な貧しい人々がここにはいるのだ。
とにかく、この町は小奇麗に見えるが、そこにいる人を汚してしまうところだ。ここを旅することはあまり薦められない。
君の親友
ギャレス(Garreth)より
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