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コーブ
ケリック(Kerick)へ
私は今、ブリテインから賑やかなベスパーの中間に位置する安息の地、コーブでこの一ヶ月で初めての休息を取っている。この人気のない小さな島々と沿岸部により形成されるこじんまりとした共同体は私の心を捕らえたようだ。
この地に住む人々は素朴で人なつっこく、ひとたび信頼を得れば大きく心を開いてくれる。村には洒落た宿はなかったが、私は洒落た部屋が欲しいのではなく灯台の物陰でキャンプすることを望み、地元の人々と食事を共にした。この大型の建造物は一世紀以上も前に敵を見張ることを目的に建てられたものであるが、現在ではより平和な目的に利用されている。他の者の安全を守るために監視を行っていた時代を想像して私は感銘を覚えた。タワーの上のランプが荒らしにより打ち壊された時も、村をあげて修繕し、嵐に勇敢に立ち向かった男達の歴史は事実として語り継がれている。
近くに住む老女が村の子供達に古き日々の話をするのを聞くことが出来た。ある日、灯台の階段が不意に朽ち果ててしまい、細身の子供であった彼女だけがその残骸を登ることができたのだ。彼女は階段が修理される数週間、毎日その灯台のてっぺんまで油を持って登ったと言う。彼女はまたてっぺんから見上げる夜空に描かれる「星の絵画」について子供達に伝えて聞かせていたが、私は気にも止めていなかったのだが、ふと見上げればまったく彼女の言うとおりである。この夜空には「星の絵画」を見ることが出来た。
私は新しい冒険に旅立つ前であるならば、この地にいることに喜びを感じる。日中は、南から攻め入るオークとの戦いで時間を費やした。この哀れなオーク種族は昔からコーブの住民を悩ませてきたが、ブリテインから駐屯している部隊のパトロールにより、かつて一度も大きな脅威と成り得たことはない。悪の生物を相手に技能を磨き、海での水泳の後、湯気をたてている豪勢なシーフードチャウダーと暖かいブラウンパンで終わる一日の喜びを決して君にこの手紙で伝えることができないだろう。
まもなくこの地を去らなければならないことは無論わかっている。しかし、君が私の消息を見失ってしまったときにはコーブにメッセージを残してくれ。きっとそれはいずれ届くことになるだろう。
君の親友
ギャレス(Garreth)より
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