ブリテイン

ケリック（Kerick）へ
友よ、君に最後に手紙を送ったのはあまりにも遠い過去であることは分かっている。しかし、休息と筆を取る機会が来るまでには多くの戦いと長い道のりがあったのだ。礼儀に反することを謙虚に詫びたいと思っている。

旅立ちの時、この旅の目的をブリテインで開かれる博覧会を見ることだと君に説明した。世界の隅々に知れ渡る首都のきらびやかさ、その地でロード・ブリティッシュ（Lord British）に直接忠誠を誓うことが私のキャリアにとって幸先のよいスタートであると信じていた。ロードが都市の西の端にそびえる城に住んでいることは周知の事実だったが、ブリテインには別の驚きがあることは聞かされていなかった。

都市の最初の印象はその注目に値する清潔さ。壮大な石建物、木と漆喰の店や家に住む人々が群れをなして生活している。しかし、人々は互いを尊敬し、その場所がただそこに存在することに感じる喜びで輝いているかのようにも思われた。

実際、魔法と先端技術が並んで存在するそれは本当に驚くべき街だった。ブリテイン市民は進歩という領域に最初に触れる人々であり、ミノック、ムーングロウからの科学的な発見から、あるいはトリンシックからの勝利を画策する道具がすべてブリテインの資金により成り立っているのだ。

魔法は最も過酷な軍の訓練に見合うよう研究され、日々何らかの魔法の新しい使い方が発表されていたように思われた。

そして、この驚くべき都市は、いかなる外部の支援なしでも市民に衣類を着せ、食べさせていくことを可能にする自足の共同体だという点で賞賛に値する。つまり、ロード・ブリティッシュが外部の都市を兵の訓練、技術、建築資材、食料の供給源とする必要性は単に経済面での優秀さを考えれば必要のないことである。宣誓を行うほんのわずかの時間しかロードには会うことが出来なかったが、その溢れるような気高さはまさに冠をかぶるのに相応しいと言えた。

ケリックよ、彼は些細な政治には目もくれぬ気高い人物なのだ。多くの街ではありもしないロードのスキャンダルな噂が飛び交い、それに翻弄される者もいるだろう。だがひとつだけ伝えておこう。我らの君主は決してそのような人物ではない。確かに、ロード・ブリティッシュとブラックソン（Blackthorn）はライバル同士だが、それもよい意味での事であり、ちょうど私が城を去ろうとしている時にも、二人は優雅な食事の後、互いを歓迎しあいチェスをするために大食堂で向かい合っているのを見たのだ。ブラックソンは物事をじっくりと捉えるような鋭い顔つきを持っているが、私はこの二人がお互いの意見を尊重し会っていることに疑いは一切覚えなかった。

ブリテインが私の剣の腕前を必要としない限り、この地に長くいることは不可能に思える。治安は司法システムにより守られ地元の民兵によって法律が維持されている。ブリテインから遠く離れた場所で行われた悪事に対しても、その恵み深いシステムが丁重な政策により地元に受け入れられている。いつかまた、私はここに帰ることを楽しみにしている。

君の親友
ギャレス(Garreth)より

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