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ベスパー
ケリック(Kerick)へ
私はベスパーが特徴のある街であることが分かった。それはまるで画家の目によって設計されたかのように確かに素晴らしいのである。ブリテインの北からコーブを抜け、東の海岸に位置し、大きな川が湾に流れ込む前で小さな河川に別れている。空気は涼しく、設計上のトリックかも知れないが、より光を含んでいるような気がする。運河は土地から自然に彫られたかのように延び、わずかな土地は多色の地衣類に覆われている。この街には芸術家、彫刻家と職人の一群が住みつき、そのお陰でベスパーは宝石とも呼ばれている。
しかしながら・・・その石造物の壁をこすることが許されるならば、私は全ての金箔がはがれるであろうと感じる。それは実際には貪欲と陰謀の迷路である。人々が気付かないか、あるいは気に掛けていないのだろう。このどん欲な住処を餌とする一部の人間にとっては、この街はまさにチャンスを供給してくれる安堵の地なのである。
この街ではまるで赤ん坊がガラガラで遊ぶかのように魔法が無目的な喜びのために使われている。私が街に着いた時、女性が髪の毛の色をファッションのために魔法で染め、一週間も経たないうちに今度は洋服の色が鮮やかに染められていた。そのことに重要性などはなく、すべてのことが考えもなしに行われている。彼等はブリタニアの提供する先端に技術にも接することができるが、もちろんそのことはナンセンスを意味する。
街は取引の中心地としてすべてがそれに反映されている。人々は道ばたに群がり、そのため治安はガードにより維持されている。街のいたるところで食べ物が売られているが、質素なパンとチーズを欲したくなるほどエキゾチックなスパイスで濃厚に味付けされている。私が滞在したつかの間、秘密や嘘、そして死の領域についてまでベスパーでは取引の対象であることが分かった。もちろんそれらは通常よりもかなり割高な料金を意味している。
君の親友
ギャレス(Garreth)より
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