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蔓延する絶望
- [ワールドニュース] 投稿日:05.18
アドラナス(Adranath)は、すでに湿地と化したユーの泥の中へ足を滑らせた。周囲には、脈打つような腐敗の毒気が自分自身をも貪りながら、ゆっくりと、しかし手当たり次第に生命を飲み込んで行く様子が肌で感じられた。身の毛もよだつようなその強い感覚は、自然の力を操る者にとれば、感じ取ろうと精神を集中させるまでもなく否応なく伝わってくる。その地域一帯には、重苦しい砂埃のように疫病の胞子が舞っていた。歩くと、体の周りの空気が渦巻くのが見えた。アドラナスはクレイニン(Clainin)の研究所を思い出した。そこには、何百という書類や古書が整然と書棚に並んでいたが、どれも塵ひとつ被っていなかった。
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その後のUMA調査隊
- [ローカルニュース] 投稿日:05.12
UMA調査隊代表の真の顔はUMAの力を吸収し、凶悪な進化を遂げた魔術師だった・・・ということは賢明な読者諸君はとっくにご存知のことだろう。この私、Cheryl Brownは代表との決戦で倒れ、今回復の途上にある。しかしあの悪夢について詳しく語るのはやめておこう。過去ではなく、現在のことを語るのがBNN記者としての私の役割なのだ。
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準備
- [ワールドニュース] 投稿日:05.11
ケイバー(Kabur)の重い足音が、エクソダス(Exodus)の部屋に通じる廊下に鈍く響きわたった。戦場から呼び戻されて、彼は機嫌が悪かった。特に今は、人間どもを存分にいたぶれる最高の時だったのだ。司令官という重責を担うのはよいが、会議ばかりで嫌になる時もあった。だが、彼の主人であり、彼らの種族を絶滅から救った存在の命令には、絶対に逆らうことはできない。
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兆し
- [ワールドニュース] 投稿日:05.10
「クレイニン!後ろよ!」
クレイニン(Clainin)が身を屈めるやその頭上を飛び越えたドーン(Dawn)は、その勢いで祖父から受け継いだ剣を怪物に深々と突き刺した。怪物の体は真っ二つに割れ、気味の悪い悲鳴を上げてのたうちまわると、見る間に土に戻っていった。ほかに襲いかかってくる植物怪人が残っていないか、ドーンは素早くあたりを見回し確認したが、どうやら、しばらくは心配なさそうだった。ジュカ(Juka)はまだ町の中だけで暴れている。彼らがこっちまで来る気配もない。
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種子
- [ワールドニュース] 投稿日:04.30
アイエラ・リー(Aiella Leigh)は、その日、千本目かとも思われる木のあたりで手綱を引いた。地面に降り立ち、馬を草むらに放すと、彼女は茂みの中からそびえる立派な木々を畏敬の目で眺めた。ブリタニアでもこの地方は、弓師にとって最高の場所だった。カシ、クルミ、オヒイなどの木が、巨大なイチイの木と肩を寄せ合うように密集しているからだ。木材なら、彼女の小さなレンガの家の近所だけで十分に事足りてしまう。切り出し作業は単調で退屈だが、ときおり迷い出てくるエティンや大蜘蛛が変化を与えてくれる。本気で戦うときは、やはり自分で作った頑丈な弓がいちばん頼りになるが、咄嗟の場合には、仕事の道具である斧が武器になる。そんなわけで、彼女の斧を使った戦闘術は、かなりの腕前に達していた。
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呪文の儀式
- [ワールドニュース] 投稿日:04.23
ミーア(Meer)族地下祭室の中、テレポーターの入り口を飾る木彫りのタイルの上に、微かな光が瞬いた。光の明滅が終わると、ダーシャ(Dasha)は一度だけ目をしばたき、猫のような鋭い視線を集中させながら、薄暗い大広間をアドラナス(Adranath)に向かって静かに歩き出した。彼に近づくにつれて、ダーシャの表情は、わずかずつだが緩んでいった。
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同盟者と敵軍
- [ワールドニュース] 投稿日:04.15
ブラックソン(Blackthorn)は、埃っぽい大きな机の上に積み上げられた地図の山に目をやった。まばらに立てられたロウソクの心もとない明かりが、壁や天井、それに、かたわらで跪いているジュカ(Juka)の戦士、ケイバー(Kabur)の上に影を躍らせている。彼が神妙に頭をたれているのは、彼の主人であるエクソダス(Exodus)の御前であるからにすぎないことは、ブラックソンにもわかっていた。しかし、ケイバーのうやうやしい態度を見るのは、ブラックソンにとって束の間の腹いせになった。
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不正疑惑!?代表にまつわる謎の影!!
- [ローカルニュース] 投稿日:04.14
読者諸君はご存知のことだと思うが、先日動物園にイルカタイプのUMAが捕獲された。そのUMAは高度な知性を持っているようだったのだが、その入手経路について様々な噂が取沙汰されている。
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調査隊、遂に未確認生物を発見!
- [ローカルニュース] 投稿日:03.09
未確認生物調査隊は昨日、発見した未確認生物をムーングロウ王立動物園に寄付した。現在までその存在が闇に閉ざされていた調査隊だが、我々BNNレポーターが彼らの密着取材に成功。その壮絶なまでの友情と勇気を見た!
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見張り番
- [ワールドニュース] 投稿日:01.26
『あなたは!』
ダーシャ(Dasha)は身を起こそうとしたが、刺すような痛みに手足が震えて動けなかった。彼女に覆いかかる影はゆっくりと近づいて来た。彼女は、バランスを保てるかどうかもあやしかったが、今一度身体を立て直そうともがいた。そして素早くもう一度ヒールの呪文をかけようと試みた。
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