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呪文の儀式

投稿日:2002年4月23日
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全シャード
ミーア(Meer)族地下祭室の中、テレポーターの入り口を飾る木彫りのタイルの上に、微かな光が瞬いた。光の明滅が終わると、ダーシャ(Dasha)は一度だけ目をしばたき、猫のような鋭い視線を集中させながら、薄暗い大広間をアドラナス(Adranath)に向かって静かに歩き出した。彼に近づくにつれて、ダーシャの表情は、わずかずつだが緩んでいった。

『やあ、おかえり。ご苦労じゃったな。人間との会合は楽しかったかな?』戦士の治療のために世話しなく動かしている手元から目を離さないまま、アドラナスは言った。

『楽しいというか……ええ、まあ』彼女は魔道師アドラナスの施術が終わるのを待つことにした。戦士の折れた足がポンと元の形に戻り、アドラナスの手を包んでいた光が消えると、彼はようやく彼女に顔を向けて、微笑んだ。

『楽しかったと顔に書いてあるぞ。ずいぶんご無沙汰じゃったが、まだ治癒の腕は衰えていないようじゃ』アドラナスはダーシャに優しい笑顔を見せた。ミーアの戦士は、瞑想を続ける仲間のもとへ去っていった。

『すみません、先生。人間との会合のことを思い出していたもので』彼女はエターナルの近くに腰を下ろした。『私は人間の城で、人間たちと同じテーブルについて話をしてきました。全体的に、とくに嫌な思いはしませんでしたけど、まったく想像もしていなかった世界でした』

『面白かったじゃろう? ワシが観測人(Watcher)として現役じゃったころ、このイルシェナーで見かける人間といえば、つい最近まで、原始的な連中ばかりじゃった。今のようなマトモな人間が現れたのは、彼らが魔法の魔術にかかってからじゃな』アドラナスはくすりと笑った。『それで、彼らの町を見てきたのじゃろう?ブリテイン……とか言ったかな?』

『はい、それはもう驚きでした。人間は、とても……きちんとしていました。なかでも、デュプレ(Dupre)と名のる立派な戦士がおりまして、共にジュカ(Juka)と戦うための同盟を組もうと申し出られまして』ダーシャは鼻で笑いながら言った。『あまりにもプライドが高すぎて、素直に助けを求めることができない様子でしたわ』

『助けてやって困ることはないじゃろう、ダーシャ?』アドラナスは静かにたずねた。『あのときの混乱の中で、ジュカを一気に殲滅してしまおうと焦ったワシがいけなかったのじゃ。ワシがしっかりしていさえすれば、エクソダス(Exodus)がやつらをこっちの世界へ連れてくることもなかったはずじゃ。結果として、人間に迷惑をかける形になってしまった』

『ご自分をお責めになってはいけませんわ、アドラナス先生。かつて私達が宿命だと思っていたものは、今では幻想にすぎません。ただの悪い夢だったのです。先生は、見張り番として十分に貢献されてきましたわ。私は、ジュカの軍隊がミノックに向かっていると、人間たちに警告してまいりました……』

『人間を助けてやらねばならん。我々は、ジュカが罪のない人々を皆殺してゆく様を傍観者として見過ごすことはできん。だからこそ、種族全体を大いなる眠りにつかせることはしなかったのじゃ。ジュカと敵対しているのは、この我々だ。しかし、なぜジュカは我々を攻撃しない。大いなる眠りにつき、まったく未知の土地に移り住んだ我々の戦力が、全体的に低下していることは、ジュカとてよく知っているはずじゃ。それなのに、弱くなった我々を攻撃しないのは、何故じゃと思うね』 彼は立ち上がってうろうろと歩き始めた。『今の我々は、エクソダスにとって脅威ではないのじゃよ。脅威はむしろ、人間なのじゃよ。これは異常な事態じゃ。一刻も早くヤツらを叩き潰さねばならん』

『どうしたらよいのでしょう?』ダーシャは困惑の表情を見せた。

『できるかぎり、人間とジュカが衝突しないよう力を貸すことじゃ。ワシがあんなことをしなければ、ジュカは人間を攻撃したりはしなかった。お前がなんと言おうと、ワシが責任をとる』アドラナスは言葉を止めた。そして、断固とした決意に、岩の面のような彼の顔がさらにこわばった。『ジュカに腐敗の術をかける』

『人間を助けるために、そのような危険な呪文を使うというのですか』ダーシャは立ち上がり、アドラナスの肩に手をかけた。『ジュカはいくつもの町に広がっています。彼らを全滅させるためには、一度に大量に術をかける必要があります。そんなことをすれば、自然のバランスを崩してしまいます』

『そんなことは、するものか。いかなるミーアも、あのときのような行動は絶対にとるべきではない。何があろうとな』アドラナスは、怒りに任せて振るった魔法の力で、一族を死に追いやってしまった苦い思い出を押さえ込もうとするかのように、固く目を閉じた。しばらくして、ようやく気持ちを落ち着けた彼は、言葉を続けた。『ジュカは、ユーという人間の町から襲撃を開始している。我々も、そこから攻撃を始める。しかる後に、他の町をひとつずつ叩いていく』

『でもなぜ、腐敗の術なのですか?もっと他に方法があるはずです』ダーシャはアドラナスの目を鋭く見つめた。魔道師アドラナスは、ゆっくりと頭を横に振るった。

『兵士を送り込んで攻撃を開始するまでには、時間がかかりすぎる。人間を傷つけずにジュカだけを叩ける呪文は、これしかないのじゃ。たしかに、腐敗の術は非常に危険な魔法じゃ。ワシはこの術を受けてもがき苦しむジュカたちを、数え切れないほど見てきた。じゃが、我々が何もしなければ、人間たちが苦しみ続ける』アドラナスはきびすを返し、ゆっくりとダーシャから離れた。そして、足を止め悲しそうな目でダーシャに振り返った。『ジュカはエクソダスと結託しているのじゃよ、ダーシャ。ヤツらは種族の誇りを捨てて、我らに戦いを挑んできたのじゃ』彼は、ほかの魔道師たちのいる場所に向かって、また歩き出しだ。

『これは戦争じゃ。汚いことも、せねばならぬ』

*          *          *

祭室の外、ダーシャは腰を下ろし、エターナルたちを遠巻きに見ていた。彼らは輪になり、両手で複雑な印を切っていた。彼らの動きは、完璧に一致していた。輪の中央では、アドラナスが両手を高々と掲げていた。目を閉じた彼の顔からは、一切の表情が消えていた。彼の心の目には、ユーの町が見え始めていた。閃光のように見えては消える映像の断片が、やがてジュカの完全な映像に変わった。命を奪う者、斬られて死ぬ者が入り乱れ、恐怖に怯え四方に逃げ惑う人々ばかりが見えてくる。しかし、ゆっくりと集中力を高めてゆくと、戦闘の全体像がわかってきた。

アドラナスを取り囲む魔法使いたちは、呪文を唱え始めた。彼らの声は次第に高まり、陰鬱なハーモニーが遠くで見ているダーシャの背骨を振るわせた。そしてそれは、あたり一帯を微かな振動で覆った。魔法使いたちの指の先が光りだした。それらはゆっくりと光の筋を残しながら宙を舞い、互いに絡み合い入り組んだ、燃えるような光のレース模様となって輪を取り囲んだ。光は呪文の声に共鳴して震えているようだった。光の輪は、やがて中心に向かって縮みだし、アドラナスを包み込むと、彼の体は輪の中心からほとばしる、まばゆい稲妻と化した。次の瞬間、魔法使いたちの声が最高潮に達し、永遠に続くかと思われるほど長く、最後の不協和音が唱えられた。すると、アドラナスの体内から放出された巨大な光の波動が天に昇っていった。だがそのとき、彼は、かっと目を見開き、激しい苦痛の表情を見せた。ダーシャは飛び上がり、一目散にアドラナスのもとへ駆けつけた。

アドラナスの心の目には、呪文の光がユーに向かって飛んでいく様子が見えていた。だが一瞬の後、それは小さな光の粒となって地面に墜落してしまった。そのとき突然、映像は真っ暗になり、彼の心に激しい痛みが走ったのだ。

ダーシャが魔法使いを押しのけて輪の中に入ったときには、呪文は完全に終わり、精根尽き果てたアドラナスは地面に崩れ落ちるところだった。ダーシャはアドラナスの体を肩で支え、静かに地面に横たえてやった。彼の目は、まだ遠くの虚空を見つめていた。

『観測人様!』大きな儀式を終えて、やっと我にかえったエターナルの一人が口を開いた。『呪文の感触が……以前に行ったときと違っておりました……』他のメンバーも同意するようにうなづいた。

『アドラナス先生!どうしたのですか』ダーシャはアドラナスの体を優しく揺さぶった。『どこか痛むのですか』

『腐敗の術が……』彼は唸るように言った。『最後に腐敗の術を使ったときから、自然が……魔法が……、歪んでしまっていた……』彼は、気力を振り絞って身を立て直すと、ダーシャの目を見つめて言った。

『何か、とてつもなく悪いことが起きている』
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