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種子

投稿日:2002年4月30日


全シャード
アイエラ・リー(Aiella Leigh)は、その日、千本目かとも思われる木のあたりで手綱を引いた。地面に降り立ち、馬を草むらに放すと、彼女は茂みの中からそびえる立派な木々を畏敬の目で眺めた。ブリタニアでもこの地方は、弓師にとって最高の場所だった。カシ、クルミ、オヒイなどの木が、巨大なイチイの木と肩を寄せ合うように密集しているからだ。木材なら、彼女の小さなレンガの家の近所だけで十分に事足りてしまう。切り出し作業は単調で退屈だが、ときおり迷い出てくるエティンや大蜘蛛が変化を与えてくれる。本気で戦うときは、やはり自分で作った頑丈な弓がいちばん頼りになるが、咄嗟の場合には、仕事の道具である斧が武器になる。そんなわけで、彼女の斧を使った戦闘術は、かなりの腕前に達していた。

近頃では、いざというときは弓矢、と考える人が増えているようで、作っても作っても弓が足りない状態が続いている。つい昨日作った百本の矢も、すぐに売り切れてしまった。それと言うのも、安全な距離からジュカ(Juka)を攻撃できる弓矢や魔法に人気が集まっているからだ。仕事が上々で文句を言う人はいない。お蔭様で、弓矢は飛ぶように売れ、彼女は、欲しいものは何でも買える好況を楽しんでいた。

「遊んでる場合じゃないわね」彼女は声に出して言った。「しごと、しごと」

間もなく、木を刻む心地よいリズムが響き渡った。アイエラは木を切り出しては、ラマの背中にしっかりと縛りつけていった。弓と矢、それに石弓の矢をそれぞれ数十組分の予定量の木材は、まったく邪魔が入らなかったためか意外に早く集まり、ラマのラーマ(Rama)の背中がすぐに一杯になってしまった。そこからまた馬にまたがり北へ向かう。しかし、ユーの街に近づくにつれ、彼女は異変に気が付いた。彼女の相棒であり、そこそこの体格を誇る馬のデューク(Duke)が、いつものような軽い足取りで街へ向かおうとせず、嫌々をするように右へ左へと飛び跳ねる。アイエラからもらう果物や麦にだけ特別な興味を示し、そのほかのことにはまったく無関心な太っちょのラーマも、彼女の言うことを聞かず、素直についてこようとしない。彼女は、いつでもデュークの脇腹を蹴って一目散に逃げられる体勢を整えると、動物たちが凝視する方角を、木と木の間から恐る恐る探ってみた。たしかに、そこでは何かが動いていた。

だがそれは、彼女が恐れていたジュカではなかった。はっきりとしない形の何かが、よたよたと近づいてくる。彼女は、ラーマが積んでいるのが木材ではなく弓矢だったらと悔やみながら、斧の柄を握り締めた。それは、見たこともない姿の生き物だった。こんなご時世だから、よくないものに違いない。見られていなければいいが。たまたまこちらへ向かって道を歩いているだけならいいが。それなら、相手が何者であれ、逃げることは可能だろう。彼女はもう一度小さな声でラーマについてくるよう命じ、デュークには、静かに道から北東の方向へ離れて、我が家へ向かうように命じた。できることなら戦いたくないと祈りつつも、いつでも斧を振れる体勢は崩さなかった。

その生き物は、目と鼻の先にいる彼女には気が付いてはいないようだった。彼女が見た限りでは、それはどこに立っているのかわからなかった。地面とそれの境目がない。まるで地面がそこだけ盛り上がっているように見える。身長は平均的な男と同じぐらいだったが、人間の形とは似ても似つかない。おまけに、それの方角から、風に乗って野菜が腐ったような悪臭が漂ってくる。突然、ラーマが取り乱し、甲高い声をあげて走り出した。気づかれた。アイエラは咄嗟にデュークの脇腹を蹴り上げた。デュークは待ってましたとばかりに、アイエラの命令を受けるまでもなく、必死になってラーマのあとを追いかけた。だが、あの嫌な臭いが離れない。前からも横からも匂ってくるようだ。懸命に逃げているはずなのに、ラーマはどんどん化け物に近づいているように感じられた。アイエラは、あれを遠く引き離していることを願って肩越しに振り返った。しかし、引き離すどころか、追いかけてくる化け物が1匹増えているではないか。新しく現れたほうは、やや小型だが、人間に近い形をしていた。

そんな馬鹿な!今の今まで、2匹目はどこにもいなかった。まるで、あの腐った野菜のお化けから飛び出してきたような感じだ。前方に目を戻すと、そこにも2匹が……、いや、4匹だ。アイエラは全身の力を使って手綱を引き、化け物のいないムーンゲートのある方向へとデュークを急回転させた。ところがムーンゲートに向かう途中、数匹の化け物に囲まれている一人の戦士が目に入った。アイエラは、混乱するデュークの手綱を再び引き付けると、乱闘の只中へ飛び込んだ。彼女の斧が風を裂く。最初の目標は、戦士にいちばん近いやつだ。それが奇妙な悲鳴を上げて倒れると、ようやく馬から飛び降りる猶予ができた。

「デューク!かかれ!」激しい戦いの騒音の中で彼女は叫んだ。

馬に命令が届いたかどうかを確かめる間もなく、彼女は再び戦士の背後に駆け込んだ。視界のほんの片隅に、ちらりと見えた戦士の様子から、彼女は彼に関して必要なすべてを知ることができた。戦士のリングメイルは、いくつものリングが切れて大きく裂けていた。その下には無数の切り傷があり、大量の血が流れ出ていた。野戦医療の知識のない彼女が見ても、助かる見込みがないことは明らかだった。たとえこの戦闘を生き延びたとしても、長くは持たないだろう。だが、かなり弱ってはいるものの、彼がいればこの戦闘を勝ち抜くチャンスはある。そしてついに、5匹の化け物が地面に横たわり、周囲に静寂が戻った。

大きな代償を払っての勝利だった。ラーマは殺され、デュークもかなり辛そうに後ろ足を引きずっている。そして戦士は、ついに名前すら聞くことはできなかったが、体をふらつかせながら、自分で包帯を巻こうとしていた。ここに長居はできない。6匹目がどこへ消えたかわからないからだ。それがいつ戻ってくるとも知れない。もし再び現れたなら、たった1匹であっても、もう二人には戦う力は残っていない。

「馬に乗って」彼女は戦士にそういうと、立ち上がらせようと体を引っ張り上げた。彼の体から伸びた何本もの包帯の端が、風に吹かれてはためいた。デュークのところへ連れて行こうとすると、戦士は力なく抵抗を見せた。そこを無理やり馬に押し上げたのだが、彼はそのまま地面に転げ落ちてしまった。

「まるで水銀と戦っていたかの様だ……。奴らは増え続けたんだ」弱々しいながらも、驚愕の言葉が彼の口をついて出た。そして目を閉じると、もう二度と開くことはなかった。

アイエラは地面に膝を突き戦士の状態を確かめたが、すでに息絶えていた。戦士の遺体は、この場に放置するしかなかった。馬は怪我をしているし、いずれにせよ彼女一人の力では運ぶことはできない。そこで彼女は、彼が横たわっている場所に目印を立てた。どの途、ラーマの木材を取りに戻らなければならないからだ。立ち上がると、戦士と化け物の死体の間に、妖しいほど鮮やかな色をした植物の種のようなものが散らばっているのが見えた。彼女は強く興味をそそられた。だがゆっくり見ている時間はない。急いで片手に掴めるだけ掴むとポーチに押し込んだ。そして、デュークにまたがり、早足でムーンゲートに向かった。馬が通ったあと、ひづめでできた土のくぼみに泥水が染み出た。しばらくすると、土が動いて蔦や草が一箇所に集まり、ゆっくりと塊を形成し始めた。それは脈動しながら次第に大きくなり、大きくなるにつれて、脈も早くなっていった。
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