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覚醒 - 終章

投稿日:2012年10月17日
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ビクター(Victor)は馬車の後部で伸びをしながら大きなあくびをした。嵐は夜のうちにおさまったようだ。スカラブレイ(Skara Brae)のヒーラーたちから退院許可を得てほんの数週間しか経っていないが、機会にも恵まれ、なんとか別の馬車を購入できていた。悪天候の時は痛むかもしれないとは言われていたのだが、夜間に彼を悩ました微かな痛みは日の出と共に消え去っていた。柔らかな羊毛の毛布から這い出し、馬を繋いでいた縄をほどいて御者席に座り、彼は馬車を走らせ始めた。ゴトゴトと柔らかな音をたてる馬車は、物思いにふける彼だけを乗せてユー(Yew)に向かって走りだしていった。

修道院が近づいてきて建物が見えてきたが、次に目に入ってきたのは、まるでおねだりをする犬のようにお座りして前脚を宙に泳がせている巨大なドラゴンの姿だった。あまりにも奇妙な光景に、何が起きているのかさっぱり想像できなかったのだが、近づくにつれ、ドラゴンの周りに子供たちや街の人々が集まっているのが見えてきた。ドラゴンの重い爪が再び地面に下ろされると、人々は大きな声で声援を送り、道化帽をかぶったけばけばしい衣装の男が深々と礼をした。彼らの声が届くほどまで馬車は近づいており、男のパフォーマンスを聞いたビクターの顔に笑みがひろがった。

「さて、次の芸ですが、どなたかお手伝いいただける方はいらっしゃいませんか? 心配御無用。タラサ(Talratha)は子猫のようにおとなしく、しっかり訓練されていますから大丈夫ですよ! おや、勇敢な少年がいらっしゃいますね。お名前は?」

このガーゴイルの少年は、保護者らしき女性のそばから進み出てカギ爪の手を挙げていた。二人のヴァーローレグ(Ver Lor Reg)にいたガーゴイルがユーに居ると知り、ビクターは驚き、心の中でこう思った。「時は人々を変わった方向に導くが、もっと不思議な道へ導くこともあるのか」と。猛獣使いは簡単な呪文でたいまつに火をつけると、それをガーゴイルの少年に手渡した。

「それじゃ、タラサの口から離れたところに立って。で、火を吹けーって思った時にこのたいまつをタラサの前にだしてくれるかな?」

一歩前に踏み出すガーゴイル。一方タラサは低く下げた首を伸ばして唸りながら口を開ける。そして……、ガーゴイルがたいまつを前に突き出した瞬間、炎を吐き、前に後ろにと動かした。それから穏やかな動きでガーゴイルの足元の地面に顎を下ろすと、ねだるような目つきで少年を見上げた。猛獣使いに仕草で促され、ガーゴイルの少年はこの巨大な獣の頭に手を伸ばしてやさしくポンポンと叩いてやった。次に猛獣使いは少年を呼び寄せて長い骨付き肉を手渡した。少年は渾身の力をこめてそれを空高く放り投げた。歓びの咆哮と共に大きな翼を広げたタラサは螺旋を描いて空に舞い、猛獣使いと少年の遥か頭上で宙返りをすると、空に弧を描いた。

「手伝ってくれてありがとう。お名前は?」

「カルアンヴィム(Kar-An-Vim)」

「皆さん、カルアンヴィム君に大きな拍手を!」

小さな群衆は声を送った。彼はガーゴイルの少年に微笑みかけ、ガーゴイルの女性の元へ戻らせた。振り上げた手で、テイマーはドラゴンに合図をして大きな音を立てて着地させ、彼らは同時にお辞儀をした。

「ありがとうございました! 僕はトーマス・アップルウッド(Thomas Applewood)。そして、こちらは信頼できる相棒、タラサでした!」

周りに見えないように送られた合図を受けてタラサは感謝の咆哮を上げ、それからトーマスとタラサは最後にもう一度深々とお辞儀をした。その後お代として得たわずかばかりのコインをかき集めてユーの中心部に向かったが、途中寄り道して修道院の修道士にそのコインを届けにいった。その様子を見て微笑んだビクターは拍車を鳴らし、再び道に沿って馬車を走らせた。修道院の門に着くと、一人の修道士に到着を告げた。そしてやってきた別の修道士とビクターは取引交渉を行い、運んできた未加工品の多くと引き換えに何ケースかのワインを手に入れた。これはブリテインでよく売れるだろう。しかし、彼がここに来た一番の理由は取引のためではない。柔らかなキーキー声が彼の待ち合わせ相手の到着を告げていた。ビクターは膝をつき、やって来た小さなねずみのシェリー(Sherry)をひろい上げて馬車の座席に乗せてやった。

「ちょっとだけ待っててくれ、シェリー。出発前の安全確認をしてくるよ」

ビクターは馬車の後ろに回り、木箱の位置を整え、ロープで二重にしっかり縛って固定した。それから前方に戻ってきて馬を走らせ、ブリテインに向けて出発した。

「シェリー、再会できてうれしいよ。また同乗できる馬車を探してるって聞いてびっくりしたね。てっきりお友達のお偉方たちに手配してもらったものと思ってたんだ……。だって、新しい王様と知り合いなんだろう?」

シェリーは少し楽しそうに柔らかい鳴き声をあげたが、それはささやかな不満を表しているようにも聞こえた。「あの猫を新しい城で飼うなんて言わなければ、ブラックソン王(King Blackthorn)とはもっと仲良くできたと思うわ。 あれは家猫だってヘクルス(Heckles)は言うけど、性根は野生のヘルキャットよ!」
笑いをこらえきれずにビクターは吹き出してしまったが、シェリーは気にしなかったようだった。

「まぁ、そいつがあんたの一番の心配ごとなんだとしたら、世の中良くなってきたってことだな。それぞれの街は再び協力しあうようになったし、ムーンゲートもしかり、だ。それに有名な交易路に追いはぎが出ることもほとんどなくなった。だから俺たちの旅も安全だな」
シェリーは商人の方を向いて見つめ、再び笑顔のような表情を浮かべた。

「それでビクター、あなたの方はどうだったの? あの怪我が治って本当に良かったわ……。ごめんなさいね、一度お見舞いに行ったんだけど、あなたは眠っていたから」

「俺の方は……、すっかり良くなったよ。本当さ。それに、あんたが来てくれたことはヒーラーから聞いたよ。ありがとうな。怪我は本当にひどかったが、良くなったよ。ここまで回復できたし、それにな、ヒーラーの一人が本当にいい娘で……。彼女も俺を好きになりはじめてくれてるんだ。あと数カ月もしたら、サンズ・エイルズ(Sans Ailes)さんにちゃんと持参金を持っていこうと思ってるんだ」微笑んだ男は、一瞬間を置いてからシェリーの方を向いた。「だから怪我はしたが、それ以上の幸せを見つけたってところかな。激しい雨がやんでこそ咲く花があるって言うじゃないか」

シェリーは幸せそうにチュウと鳴き、この交易商人を見上げて微笑みかけた。「サンズ・エイルズさんと新居を構えることになったら、招待してもらえるかしら」

ビクターは道の方に向き直った。太陽は空高く輝き、口笛のような音をたてるそよ風に吹かれて秋の葉が舞う。「シェリー、まっさきにあんたを招待するに決まってるじゃないか」

土と砂利の道に沿って木の車輪がガラガラと柔らかい音を立てていたが、その音の伴奏をつとめるのは、いつまでも語り合う彼らの笑い声だった。

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