短い話を終えた後、彼は再びゲートに入ったが、今度はひび割れ崩れた大地に着いた。一体のハーピー(harpy)が翼をばたつかせながらギャーギャーと喚きたてて飛びかかって来たが、彼は全く動じなかった。さっと手をあげ、呪文を唱えた。「Vas Ort Grav!」稲光が走ったかと思うと、激しい雷に打たれたハーピーは焼け焦げた肉塊となって転がり、天空は轟く雷鳴で震えた。もう一体のハーピーが近寄って来たが、ローブの乱れを直したロード・ブラックソン(Lord Blackthorn)がじろりと睨むと、このハーピーは勇気より慎重を選んで逃げ去っていった。彼はゲート周辺を軽く見渡してから、名誉の神殿の時と同じように、両腕を広げた。この場所でも、同じ力が感じられた。使われることをじっと待っている、ある明確な目的に定められた力……。彼の両腕は下ろされた。ここにどんな力があったにせよ、それは必要とされたものではなかった。再びゲートに足を踏み入れ、テルマーのキャンプに向かった。