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覚醒 - 第四章 第二節

投稿日:2012年5月12日

以前であれば、ヴァーローレグ(Ver Lor Reg)からムーンゲートまでの旅というのはさほど長く感じることはなく、彼女たち一行のようにへとへとになることもなかった。イルシェナーのヒューマンの数が増えたことで高まったヴァーローレグの街の緊張は、一部の商売人や家族にとって、もはや耐えられないレベルになってきていた。物価は上昇し、何世代にも渡ってこの街で暮らしてきたガーゴイルでさえ、そこでの生活を諦めざるをえなくなっていた。多くの者が、ザー女王(Queen Zhah)の申し出を受けて街を去った。ガードたちですら申し出に応じる者が出たほどだ。砂漠にいるヒューマンたちが砂を掘り起こしたために様々なモンスターが呼び寄せられた。加えて、エクソダスダンジョンに通じる穴が開いて機械モンスターが周期的に現れ始め、事態は急激に悪い方向に突き進んでいた。

ムーンゲートを目指して砂漠を横断中のヴァスウェン(Vas-Wen)は、片手を仲間のガーゴイルに差し伸べて引いてやった。彼女のもう片方の腕には、ガーゴイルの子供が抱えられている。一行のうち何人かは武器を持ち、この危険な地域で安全な道を切り開く役目を担っていた。ヴァスウェンはこの終焉が始まった時にかろうじて無傷で逃げのびた数少ないガーゴイルの一人だった。今の彼女は、かつて栄光と美に彩られた街から仲間のガーゴイルが逃げのびるのを手伝うためなら、出来ることはなんでもしていた。あれは全く突然の出来事で、今でもまだ夢のように思えた……。


何かが壊れる音がして、ヴァスウェンは石のベッドの上で飛び起きた。誰かが何かを落としてしまったのだろうと思い、横になって再び眠りにつこうとしたが、今度はもっと大きな破壊音が鳴り響き、眠るどころではなくなってしまった。その直後、アーチのかかった通路から、シューシューという音や火花と共に、巨大な怪物が飛び込んできた。直ちに駆け寄って来た一人のガードが怪物にスピアを突きたて、機械化された内部を引きはがすと、ヒューンとしぼむような音を立てて怪物の発動機は停止した。寝巻を握りしめたまま身動きできずにいたヴァスウェンは、このガードに目をやった。この時になって気づいたが、ガードの呼吸は荒く、その身体から血が流れ出て床に滴っている。驚きの表情を浮かべていたガードは、彼女の方を見やった。「このエリアの敵は片づけたと思っていたのに! 急げ、すぐに出て門に向かうんだ。もし戦闘の心得があるなら武装を忘れるな!」そう言うと、ガードは再び通りへと走り去った。ヴァスウェンは、周囲を警戒しつつ、先ほどガードが現れた石のアーチ通路に足を踏み出した。

ヴァーローレグは混沌の最中にあった。焼けた油と秘薬の匂いが混じりあい、追従するように吐き気のする血の匂いが漂っていた。悲鳴、武器がぶつかる音が街のいたる所から聞こえ、西の方ではガードたちがオーバーシーア(Overseer)、ミニオン(Minion)、そして一度は絶滅したとさえ考えられていたミニオンロード(Minion Lord)と戦っている姿が見える。山側の戦いでは、数では勝る軍勢も機械化モンスターどもを抑え込めず、戦いながらも次第に後退していることがヴァスウエンにも判った。すると近くの家から悲鳴が起こり、それが子供の声だと気づいてヴァスウェンは恐怖にかられた。反射的にヴァスウェンはその建物に向かって駆け出し、アーチ通路をくぐって突入した。ガーゴイルの子供が一人、目前に迫ったジャガノート(juggernaut)に襲われようとしている。自分でも思いもよらなかったほどの激しい怒号を上げて彼女は飛びかかり、露出した肉体部分に爪を立ててかきむしり、喉に届いたその爪で深々と刺し貫いた。とたんに怪物の喉から血と錬金物質の混合液体が噴出して表面の回路部分に降りかかり、火花が散った。この生物の全身からついに力が抜け、ギギーッという音と共にドリルが完全停止すると、怪物の全身でバチバチと光っていた火花もやんだ。

ヴァスウェンは子供に駆け寄り、この男の子を抱えあげた。そして彼女が倒した怪物のそばを過ぎようとしたとき、今度は先ほどの怪物のもっと凶悪なバージョンといった様相の怪物が壁を破壊して建物に侵入してきた。怪物の巨大なドリルはブルブル回転し、まるでドラゴンの爪が石の上で立てるような音を立てていた。ヴァスウェンが力強い羽ばたき一つで屋外に逃れた瞬間、建物は崩壊した。退却中の集団に合流し、ヴァスウェンは力強い救いの手に出会えた気分になった。そして、もう二度とあんな怪物に出会うことがないようにと願ったのだった……。



こうして彼女が先ほど起きたばかりの出来事を思い起こしている間にようやく目的地に到着し、一行はムーンゲートをくぐった。テルマーの陽光の中に出現した彼らを、一人のガーゴイルが発見した。このガーゴイルは直ちに街へ合図を送っていたが、その大きな声を途中何度も中断しては咳きこんでいた。街から走り出してきたヒーラーと公使がこのヴァーローレグの盟友たちへの応対にあたったが、その間もヴァスウェンはただ見守りながら、自分に何かもっと出来ることがあればよいのにと思っていた。



「この街に対しての献身と貢献、そして内外の脅威排除に対する支援活動を称え、ここに我々は、トリンシックにおける男爵の称号(Baron of the city of Trinsic)を贈るものであります。おめでとう、これからも期待しておりますぞ」短い式典は終わり、集まった男女は拍手を送った。新たな男爵の誕生だ。困難な状況は続いていたが、今が最悪の時だとは思わない者もおり、他の街の商人たち同様、トリンシックの商人たちも結束を固めていた。商業と、怒れる人々によって追放されたかつての貴族の生存手段を手中におさめた商人たちは、権力をいつでも我が物にせんとする勢いで、いまや事実上の支配者と言ってよかった。これは商人たちにとっては良いことだが、喜ばぬ者もいた。その中の一人がバルコニーから中庭を見下ろし、眼前の式典を茶番だと考えていた。

顎ひげを軽くなでた男は、傍らに控えて主人の表情から考えを読み取ろうとしている従者の方を向いた。数秒の沈黙ののち、男は従者に語りかけた。「クランシー(Clancy)よ、栄えある評議会の真似ごとをしている商人のことを、お前はどう思う?」明らかに、その言葉には苦々しい響きが満ちていた。

クランシーは一瞬眉をひそめ、ただ首を振った。「アークース様(Lord Archus)、わたくしにはこの街の将来にとって良い兆しだとは思えません」

アークース卿は向き直って集まった人々を再び見下ろしていたが、くるりと踵を返した。翻ったクロークが、床上すれすれを舞った。「確かに悩みの種ではあるが、私の目下の最大の関心事は別の事だ。ヴァーローレグでの出来事に対し、どう行動するべきか考えていたのだ。彼らが直面している問題の報せが届き、私の結論は出た。ついてこい。私が焼き払った高価な品々が実を結び、私の元に伝令が現れるかどうかが判るだろう。その伝令だけが……、あの男と繋がる可能性のある唯一の手段なのだ」



聞き間違いようのない音、すなわちヴァロライトがヴェライトに、鉄が銅に、ブロンズがアガパイトに激突する音が、戦場のいたるところで鳴り響いている。騎士が前進しようとすると必ずネクロマンサーが全力で阻もうとしたが、荒々しい騎士分隊は2、3人足らずの魔法使いの支援を受け、襲い来る野獣や暗殺者の攻撃を撃退しようと最善を尽くしていた。

一人の男の姿が現れ、鬨の声があがった。その磨き抜かれた鎧姿が最前線に突入し、続く馬群は風の中で激しくはためく旗を掲げている。男のヘルメットの側面は数々の打撃を受けて変形していたが、傷一つない頭頂部には、深い紫色の聖杯の飾りがついていた。目にもとまらぬ剣さばきと受け流しに、敵の野獣使い、毒使い、ネクロマンサーの陣形は瞬く間に崩れていった。前線が過ぎたばかりの場所には、自然の掃除屋たちがもう集まり始めている。戦いの中で邪悪な魔法に使われずにすんだ亡骸を、カラスやネズミが漁る。激しい戦闘音と熾烈な戦いの中では、他とは違った行動をとっているねずみが居ることなど、誰も気づきはしなかった。

騎士団のリーダーは、最後の総攻撃とばかりに大声をあげたが、彼の馬にファイアーボールが命中し、馬が倒れて彼は振り落とされた。男は徒歩で敵軍に近づき、敵のリーダーと思われる女めがけて素早い剣の一撃を放った。邪悪な唸り声をあげて女は剣をクリスで受け止め、両者は一瞬にらみ合ったが、男が盾を使って女を殴り払った。女は流れるような動作で口に運んだビンのコルク栓をくわえとって薬を飲み干すと、活力を取り戻した様子でこのプレート鎧に身を包んだ騎士を挑発した。二人は戦いを続け、二人の軍勢同士も戦いを続けたが、最終的には騎士が優勢に立ち、女を地面に叩きつけた。女の胸をプレートレッグに包まれた足で踏みつけて押さえ、男は相手の顔に剣を向けた。

「あの女の居場所を言え。言えば今日のところは正義ではなく慈悲の徳を見せてやろう。知らないなら、少しはマシなことを言い残せ」

ダガーのように鋭い目で男をねめつけた女は、血まみれの口元に暖かさのかけらもない笑みを浮かべると、不本意そうに答えた。「フン、彼女はあんたみたいな武者修行の騎士なんかの手の及ばない所にいるよ。それに、あんたよりずっと強いさ。あんたのちっぽけな王国はボロボロと崩壊中じゃないか、欠片はあたしたちがいただいて……」

女の言葉は途中で途切れた。騎士の剣が女を永遠に沈黙させたのだ。何も言わずに騎士は女から離れ、眼前の状況をうかがった。残存敵軍は明らかに退却中であり、彼の部下たちの多くは馬を失うか傷を負っていた。剣を振って血を払い、腰につけた鞘に戻しながら、男は自軍の副官の方へ向かったが、戦場を横切って駆け寄ってくるねずみに気づいて立ち止まった。ヘルメットを脱いで黒髪から汗を払うと、男はひざまずいてこの古き友を拾い上げた。

「まさかこんなところで会えるとはね、シェリー(Sherry)。ということは、緊急事態かい?」

騎士の声には今でも朗々とした響きがあり、最近では滅多に感じられない親しみやすさをシェリーは感じた。何も変わっていないものが少なくともここにはある、そのことにシェリーは心の中で感謝した。

「デュプレ卿(Lord Dupre)、実は現状のことで……」

デュプレはこめかみ付近を軽くなでていたプレートグローブをはめた手を止め、その手を使ってシェリーに「それ以上言わなくていいよ」と仕草で伝えた。「シェリーにとって、オレはただのデュプレでいいんだ。おいで。その話、酒でもなきゃ聞いてられない話じゃないといいんだが。とにかく、最高に美味しいごちそうを齧らせてあげるよ」そう言うと、デュプレは手綱をとって魔法使いがゲートを開くのを待ち、腕に乗せたシェリーと共にムーンゲートに入っていった……。

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