その週の鍛冶屋の収益を計算したウィズレム(Wislem)は、興奮して羽を伸ばし、自らの角にそってカギ爪の指を滑らせた。現在のジュカとの情勢は、確かに厄介なものだった。それによってどのような影響を被るのか予測するのは困難だったが、少なくとも、最近現れた冒険者たちの一団は経済に大きな恩恵をもたらしていた。彼にとっては空前の高収益であったにも関わらず、この冒険者たちは新しいうねりの第一波に過ぎないとウィズレムは感じずにはいられなかった。どのような嵐が来ようとも、どのような騒動が起きようとも、この街は切り抜けられる、彼はそのことに殆ど疑いを持たなかった。もう長いこと、ヴァーローレグ(Ver Lor Reg)は要塞として、安全な聖域として存在しているのだから。そろそろ、この街が注目され、より利益を生み出せる場となる時がきたのだ。