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忍びの願い

投稿日:2011年4月25日

(Asuka, Wakoku, Hokuto, Izumo, Mizuho, Mugenシャードローカル)

カシワ(Kashiwa the Elite Ninja)は、軟弱な弟子たちに腹を立てていた。できることなら即刻破門を言い渡したいほどだった。しかし、将来有望な若者たちが多く訪れる状況であればともかく、ここしばらく入門希望者が現れていない現状では、今の弟子たちを育て上げない限り、カシワ一族に将来がないことはわかりきっていた。

里の入口を巧妙に隠しすぎただろうか、とも思ったが敵に悟られぬためには致し方のないこと。たとえそれが入門希望者を減らす要因になっているとしてもだ。ともかく、この若造どもを、いかにして立派な忍びへ育て上げるべきか、それが彼のもっぱらの悩みであった。

道場の中央で腕を組み、直立不動の姿勢で立つ彼の前に、もう一人の人影が現れて彼と向かい合った。この二人は服装だけでなく、顔かたちまで瓜二つ、何一つ違いがないように見えた。だが、分身の術によって作りだされた幻影ではない証拠に、現れた男は口を開き、こう言った。

「兄者、面白い話がある」

どうやら、弟と思われるその男は、兄のカシワが抱えている悩みを解決する策に、心当たりがあるらしい。

「なんでもこの時季、大昔の徳之諸島では、子供たちのすこやかな成長を願った大人たちが、子供たちのために様々な儀式や訓練を実施していたらしいぞ」

「ほう、それは興味深い話だな。詳しく話せ」

「俺の調べでは……魚の剥製や兜を飾るという、単純で効果が不明確なものから、我が子を千尋のアビスに突き落とすことで心身ともに鍛えあげるという、実用的なものまであってだな。具体的には……」

兄のカシワは時間をかけ、熱心に弟の話を聞いた。そして、話を聞き終えたとき、自然と一つの結論に達していた。それは、彼にとって我が子同然の弟子たちが、立派に成長してくれることを願い、ある施設を用意するというものであった。弟は、兄が導きだした結論にいたく感心するとともに、こう提案した。

「なるほど、さすがは兄者。それは妙案だ。ただ、このところ弟子の数は減る一方だ。だから、この施設を一般公開して、我ら一族のことを世に知ってもらうというのはどうだろうか?」

「忍びである我らを、表舞台に立たせるつもりか?」

「我らの存在が知られたところで、役目に支障をきたすことはあるまい。それよりも、施設を利用して我らの魅力を伝え、入門者を増やすべきではないか? このままでは我ら一族は滅びるかもしれんぞ」

「……致し方あるまい。では、弟よ。すぐに手はずを整えるのだ」

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