幼いヘルハウンド（A Young Hell Hound）を連れ去ったのは、モーガン（Morgan）の元同業者である二人の盗賊だった。

「モーガンのやつ、今頃あわててあちこち探し回ってんだろうな。いい気味だぜ」

「でも、大丈夫かよ。俺たちがやったってバレたりしねえか？　お前が落としたバンダナ見たら、あいつここまで来るかもしれねえぞ」

「心配するな。そのために入口の場所を変えたんじゃねえか。あんな間抜けが見つけられるわけねえさ」

犯人たちのいうとおり、アジトへの進入は一筋縄ではいかなった。しかし、諦めるわけにはいかない。そう、薄暗い地下の檻に閉じ込められ、腹を空かせながら助けを待っている小さな相棒のためにも。

モーガンは冒険者たちの知恵を借り、必死にアジトへの入口を探した。そして、ついにアジトへの進入に成功し、幼いヘルハウンドを助け出したのだった。

檻の扉を開けた瞬間、小さな相棒は嬉しそうにモーガンのもとへ飛び込んできた。その姿を見たモーガンは、喜びのあまりこぼれ落ちそうになる涙を冒険者たちに見せまいと、必死におさえていた。



そして、冒険者たちにお礼をいい、再び幼いヘルハウンドとともに森の中へ戻ろうとするモーガンは、去り際にこう呟いた。

「うーむ、お前にも名前がほしいな。いつまでも“お前”っていうのもなぁ」