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ローカルニュース

調教師になった男

投稿日:2010年11月17日

(Asuka, Hokuto, Izumo, Sakuraシャードローカル)

あれからどれくらいの時が過ぎただろう……。モーガン(Morgan)は人里離れたある森の奥深くで、いまだ修業の日々を送っていた。

「くそっ……! こんなんじゃいつまで経っても強い男になんてなれやしねえ!」

どうやら、修業はうまくいっていないようであった。

「やっぱ羊じゃこの辺が限界かもしれねえな」

羊飼いである彼は、自分の羊たちをひたすら鍛えていたが、やはりそこは羊。いくら鍛えてもドラゴンやオーガロードには勝てない。はじめから予想できたことなのだが、モーガンはその現実を認めずに修業を続けていた。しかし、非情な現実は毎日のように彼の心を責めつづける。そしてついにモーガンはその現実に屈してしまった。

「羊飼いはやめだ。どうあがいてもこれ以上の成果は望めねえ。こうなりゃ、俺様は調教師になってやるぜ!!」

そう決心したモーガンは自宅へ戻り、羊たちを囲いの中へ入れると、すぐに家を出た。調教師として、強力なペットを手なずけるために。



モーガンは各地を回り、ドラゴンやクーシーなどの様々な生物を見たが、どれも彼が求めているものではなかった。

「ちがう……そうじゃないんだ。もっとこう、なんていうか、みなぎったヤツはいないのか!」

満足のいく生物が見つからないことへ苛立ちを覚えつつも、モーガンは疲れ果てた身体に鞭を打ち、理想のペットとの出会いを夢見て更に各地を回った。そして、ついにその時は訪れた。

「こ、こいつだ! こいつを俺様のペットにすれば……」

“それ”は今までモーガンが出会ったことのない生物だった。相手を焼き尽くすかのような鋭い眼差し。巨大な体つきからは想像もできない身のこなし。そして、全身から力強いオーラのようなものを放っている。まるで、周囲の空気が震えているようだった。

ペットにするには申し分ない。しかし、モーガンには“それ”を手なずけるだけの腕力も技量も知識もなかった。主として認めてもらえるはずがない。

「と、とにかく、こいつをなんとかして家に連れていこう。俺様の出したゲートにうまく誘いこめば……」

多少の傷を負いながらも、モーガンはなんとか“それ”を家まで連れていくことに成功した。しかし、このままではいつまで経っても手なずけることなどできない。そこで、モーガンは決心した。

「あいつらに力を貸してもらおう」

なんのためらいもなく彼はそうつぶやいた。強い男になり冒険者に頼らずとも立派に生きていくという決意は、早くも崩れ落ちたのだ。

「いや、これがうまくいけば俺様は強い男になれるんだ! あと一回だけさ!」

このときモーガンは気付いていなかった。例え従えるペットが強くなったとしても、彼自身の強さは全く変わらないということに。だが、今の彼にはこれしかなった。そして、強力なペットを従えた自分の姿を想像しながら、彼はブリテインを目指した。

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