*ガチャ*　*バタンッ*

メグ：「ただいま〜、遅くなってすみません！」
モーリス：「おかえりなさい」
アトランコ：「遅いわよ、メグちゃん」
メグ：「すみません……って、あれ？　アトランコ先生もいたんですね」
アトランコ：「なによ、アタシがいたらダメなの？」
メグ：「い、いえ、そういうわけじゃ……。今日はモーリスさんと二人の予定だったので」
モーリス：「私もそう聞いていました」
アトランコ：「邪魔者は消えろってことね、わかるわ」
メグ：「そんなこと言ってません！　二人より三人のほうがいいに決まってます！」
アトランコ：「んも〜、冗談よ〜。なんでも本気にするんだから、この子は。ウフフ」
モーリス：「それよりメグさん、今日紹介する投稿はどんな内容なんですか？」
メグ：「あ、えーとですね、先日ユーの牢獄が襲撃を受けたことはご存知ですか？」
モーリス：「ええ、なんでもベインの選民によるものだとか」
メグ：「はい。投稿はその現場にいた冒険者の方からいただいたものです」
モーリス：「なるほど、それは興味深い」
アトランコ：「あんたたちは行かなかったの？」
メグ：「うっ、他にやることがあったもので、その……」
モーリス：「家で本を読んでいたので全く気が付きませんでした。片が付いた後に、襲撃についての話を聞きました」
アトランコ：「まったく、なにやってんのよ。しっかりやんなさい」
メグ：「はい……」
モーリス：「面目ない」
アトランコ：「ま、いいわ。それじゃ、投稿の紹介はしっかりやるのよ」
メグ：「わかりましたっ。それでは、AsukaシャードのListerさんからいただいた投稿のご紹介です！　ありがとうございます！」




本年10月9日、Asukaシャードにおいて、シェリーの呼びかけに応えた有志一同は、ユーの牢獄死守の任務を完遂しました。しかし、リカルドは消息不明の状態に…。事件の舞台は、どうやらマジンシアへと移っていく様子です。（Lister）

アトランコ：「これだけ冒険者が集まったら、ベインの選民も仕事はさせてもらえないわよね」
メグ：「たしかに。実際、現場にいたベインの選民たちは冒険者たちに撃退されたみたいですし」
モーリス：「しかし、投稿文にもありますが、牢獄にいるはずのリカルドの姿が見えない」
アトランコ：「ベインの選民に連れていかれたってこと？」
モーリス：「そこまではわかりません。ただ、襲撃の中で姿を消したということですから、その可能性はあると思います。現場で見つかった本にも、それをほのめかすことが書かれていましたし」


アトランコ：「リカルドに関することなんて書かれてないじゃない」
モーリス：「普通に読むとそうなのですが」
メグ：「なにか暗号が隠されてるんですか？」
モーリス：「暗号というほどのものではありませんが、ちょっと読み方を変えるとリカルドについて書かれていることがわかります」
アトランコ：「なるほど、そういうことね。たしかに書かれてるわ」
メグ：「えっ、アトランコ先生はわかったんですか！？」
アトランコ：「あたりまえよ。アタシを見くびらないでちょうだい」
メグ：「うぅ、全然わからない……」 *しょんぼり*
アトランコ：「しょうがないわねえ。後でこっそり教えてあげるから、そんなに落ち込まないの」
メグ：「ほんとですか！　ありがとうございます！」
アトランコ：「で、この本はベインの選民が持っていたものだと」
モーリス：「ええ、そのようです」
アトランコ：「まったく、こんな大事なものを現場に落とすなんて、間抜けの集まりね」
モーリス：「たしかに。もっと気を付けるべきです」
メグ：「……」
アトランコ：「うちで言ったら、原稿をなくすようなものよ。信じられないわ」
メグ：「……」
アトランコ：「どうしたのよメグちゃん。黙っちゃって」
メグ：「い、いえ、なにもそこまで言わなくていいんじゃないかな〜、なんて」
アトランコ：「なによ、ベインの選民の肩をもつつもりなの」
メグ：「そういうつもりじゃないんですけど、誰でも失敗はするものですし」
アトランコ：「ふ〜ん、なるほどね〜」
メグ：「な、なんですか！？　なにが“なるほど”なんですかっ」
アトランコ：「メグちゃん、さっきまで取材にいってたのよね？」
メグ：「……」
アトランコ：「ちょっと、その原稿を見せてちょうだい」
メグ：「……すみませんでした」



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