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徳の影 - 良き隣人

投稿日:2010年6月23日

今日は、ステイジアン アビスの前哨地が完成後、初のテルマー/ブリタニア元首会談の日だったが、ザー女王(Queen Zhah)の心は沈んでいた。彼女の手元には悪い知らせがあり、それを伝えねばならなかったからである。どう進行しようかと考えをめぐらす客人の、柔らかくて個性のない顔をザー女王は注視した。ヒューマンの考えを読みとるのは難しいわ、と彼女は思った。ドーン女王(Queen Dawn)は彼女の真向かいに座り、静かな水面下で魚が泳ぐのを見つめていた。この宮廷屋内庭園の美しさもザーの憂鬱な心でかすむようだった。それは大切に保護されてきたかつての偉大なるガーゴイル帝国の芸術であり、彼らが失った全てを常に思い出させるものでもある。我が民は多くを失い、高い代償を払ってきた。我々が再び良い知らせを聞くことはあるのだろうか?

背の低い椅子に楽に座り、大きな翼をバランスを取るように自然に広げながら、ザーは手を伸ばしてその長い指で手近の植物からツヤのある葉を摘み取り、その美しさに思いを巡らせた。沈む心を押しやり、ザーは沈黙を破った。「あなた方のステイジアン アビスの前哨地完成にお祝いを申し上げます。正直に申し上げて、あなた方の魔法使いが提唱した徳の放出点理論には見込みがないだろうと考えていたのですが、そうではなかったことは結果が証明しましたね」

ドーンは苛立っているようにこう答えた。「私も同様にあなた方にお祝いを申し上げますわ、ザー女王。徳の力は長い間ブリタニアの民に知られていましたの。いつかご自身でも徳について学びたいとお思いになる日が来るかもしれませんわよ」

何かドーンを侮辱するようなことを言ってしまったかしら? ヒューマンはとても感情的な種族だわ、とザーは思った。半ば野生動物のようね。しかしガーゴイルの民は重大な問題を抱えているわ。ガーゴイルの世界は壊滅という崖の上に立たされており、同盟者に対して心の狭い競争心を抱いている場合ではないのよ。ザーは眉を上げたが、ドーンの苛立ちに動じることはなかった。

ザーはドーンに巻物を手渡した。「これはアビスの番人から寄せられた報告です。あの裂け目付近で多数のヘルハウンドと、何体かのブラックドラゴンが現れつつあるということをお知らせしたかったのです」

ドーンは受取った巻物をそばに置いた。「お知らせに感謝いたします。私たちの守人からも同様の報告が届いております」彼女の言葉は歯切れが悪かった。「一部の冒険者は、そこで発見されたドラゴンやヘルハウンドを手なづけているようです。彼らは『ベインの選民(Bane Chosen)』と名乗り、ドラゴンのことを『ベインドラゴン(Bane Dragon)』、すなわち破滅のドラゴンと呼んでいます。目下のところ、我が守人は彼らの名の“破滅”の意味するところや正体をつかめてはおりませんの」

「では、彼らが人員を募っていることもご存じですわね? 我々のガードは、彼らのリクルーターを全員テルマーから追放しました」ザーは一瞬考え、少し率直な態度を示すという危険を冒してドーンの苛立ちをやわらげようと決心した。「ドーン、ガーゴイルの民はボイドによって非常に多くを失ったわ。財産や大切な者を全て失った者もいます。そういった者達が、あの豊かな財力を持つよそ者に、富とより良い生活を約束され、深く考えもせずに協力するのではないかと心配なのよ」

「ええ、そうですわね」とドーンは口を開いた。そこで一瞬言葉を切り、ザーの顔を注意深く見つめつつ何か考えているようだった。そして身を乗り出し、より声をひそめたところをみると、ドーンは決心したようだった。「彼らの目的は確かに疑わしいわ。“破滅”を意味するベインを名乗ったり、ヘルハウンドを使役しているということを考えずにベインの選民の服装を見ると、かつてブリタニアを支配しようとしたカオス軍を思い出すのよ。カオスの残存兵が新たな旗のもとに再興を企んでいる可能性はあると思うのだけど、現時点ではそれもただの推測だわ。もちろん、密偵は送り込んであります。彼らは我が方の街の近くには現れておらず……、遠くロストランドでオフィディアン(Ophidian)と戦っているようよ」

ザーも身を乗り出した。「オフィディアン? それは誰?」と好奇心をもって尋ねた。ヒューマンの文明には様々な党派や集団があって複雑だということは知っていたのだが、魔術師として、そしてあらゆる事象への永遠の学徒として、ザーは複雑な物事に出会うと意欲をかき立てられるのだった。

「“誰”というより“何”と言った方がいいわね。常に争いを求めている、ヘビに似た邪悪な種族なの。かつて彼らの宝が盗まれた時、ブリタニアに攻め込んできたわ。群れで押し寄せるので、盗賊を見つけて宝を返すことで去らせるのがやっとだったのよ」

「間違っているかもしれないけど、その盗賊とはリカルド(Ricardo)という男?」

ドーンは驚いたように身を引き、目を見開いた。「どうしてリカルドのことを?」

「あらドーン、リカルドや彼のロードブリティッシュの宝物庫に関する調査のことを知らない者がいるとでも?」

ドーンはため息をついた。「ええ、そうね。残念だけど、ブリタニア中どころかその外の誰もが知ってるみたい。誰かに侵入される前に宝物庫を開けなければならない状況なのよ。ベインの選民の狙いはあの宝物庫ではないのかと当初は案じていたのだけど、彼らは特に興味を抱いていないようだわ」

「それで、そのリカルドという男についてだけど、盗賊だという報告もあれば、あなたのアドバイザーだという報告も来てるのよ。どういうことなの?」言ってしまってから、ドーンの性格ではこの言葉を聞いて席を立ってしまうかもしれないとザーは思ったが、すでにザーにとっては外交よりも好奇心の方が重要となっていた。

幾分驚くべきことに、ドーンは怒りださなかった。「確かにリカルドはオフィディアンの宝物を盗んだわ。それでかなり長い期間牢に入ったのだけど、昨年のシャドーロードとの激戦において彼の助力があったから、最終的に私が恩赦を与えたのよ。その後、彼は私のアドバイザーの一人として残っていたの。彼が狂ってしまうまではね」

ザーはその奇妙な物語に魅了されて身を乗り出し、それにつれて翼はやや角度を変えていた。「狂う、というのはヒューマンでは普通のこと?」と彼女は尋ねたが、悪気はない。

ドーンの機嫌は再び悪くなったようだ。「いえ、普通じゃないわ。だから最終的にユーの牢獄に入れたのよ。より適した施設が他にはないから。ある朝、彼は古い友人達に会いに行くと言って城を出たの。数週間後、正気を失い、全身血まみれになってファイア島に現れたのよ……。その血は彼の血ではなく、他には何もなかったわ。長い話になるので省略するけど、現在彼はユーの監獄に収容されているわ。自分自身に危害を加えそうだったし、他者に対しても危険を及ぼすかもしれないと判断されたからよ。何かが彼に起こったのだと思う。恐らく魔法的な何かが。出来ることなら彼を治したいわ」

「それで、この新集団に対してはどうするつもり?」

ドーンは再び背もたれに身をまかせ、ガーゴイル宮殿の高い天井を見上げた。深呼吸をしてから、彼女はザーの方へ視線を向けた。「以前の私なら、すぐに行って何かしなければと指揮官に不平をぶちまけていたでしょうね」

「では、何故そうしないの?」ザーが質問した。

「そうね、少しは賢くなったんだと思いたいわ」と、彼女はそっけない笑みを漏らした。「でも、外交に励むより、剣を振り回している方が私には向いていると思うの。ザー、あなたは自分が女王でなければよかったのに、と思うことはない?」

「ないわ」とかなり驚いた表情でザーは言った。

「そう……。あの“ベイン”の冒険者たちに正式に軍事行動を起こすのは『人気を落とす』ことになると進言されたわ。私が今一番やりたくないことは、ブリタニア内にさらに党派を作ること……何か“反ロストランド問題干渉運動”のような、ね。だから……今は……彼らをブリタニアの境界内に入れないようにして中立を保つわ。こちらのバード達は最近魔法的な発展を遂げたの。芸術を支援することで人々が間違った方向に進むことを防げるかもしれないわね」と、ドーンはたっぷりの皮肉を込めて言った。「でもこの目的が変わってしまって、ロストランドが炎上しているのに、私たちは楽器の演奏をしているなんてことにならないといいんだけど」

ザーはヒューマン社会は理解しがたいと思った。ドーンは自分の民をあまり制御できないらしい。しかし、率直に接したことによってドーンからこれほど多くの情報を引き出せたことには満足できた。以前の公式なドーンはいつも落ち着かない様子だった。ある程度彼女と通じ合えたようだし、そのことでガーゴイルと重要な盟友との絆は強まるだろう。今日という日はまだ終わっていないが、たとえ他に何が起こったとしても、この会談は成功だったとザーは思うことだろう。

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