先日より『The Oak Throne』に発注されていた建設依頼。
最初はトリンシックで着工したが、幾つかの騒動の末、ロングに建設地が移った。
また、ゴーディ(Gordy)の怪我のため、エリック(Eric)とコニー(Connie)が建設を引き継ぐ事となった。
コニーが図面を修正し、エリックが腕を振るう。
全力を注ぎ込んだ結果、粗さは見えるが驚くほどの短期間で建設を終えてしまった。彼ら自身驚いていた程だが……それ以上に驚く事もあったのだった。


「まさか親方が一人で建設しちゃうとは」

エリックはあの事件以来、ようやくやる気を見せる様になった。
大工の腕だけは一人前だが、これから学ばねばならない事は山ほどある。まぁ今までサボっていたツケだ、しっかりしごかれるといいだろう。

「安静にして下さいって言ってましたのに……」

コニーは今度の事で何かが吹っ切れたようだ。
本腰を入れて設計の勉強を始め、更には魔法の勉強も始めたようだ。勉強熱心なのは彼女の美点だ。将来は立派な図面を引ける事だろう。

「ぼくらは二人でやったのに……親方一人でぼくら以上の物を建てちゃうんだもんなぁ」
「そうね、しかも怪我が完治しない内からなんだから。さすがは親方って感じね」

そうなのだ。ゴーディはデルシアで一人建築を進めていたのだ。
怪我を負っていたはずなのに、弟子たちよりも立派に仕上げてしまっていた。
そこら辺は、店を構える程の職人の貫禄、だ。

弟子たちは親方に感心していたが、ゴーディもまた弟子たちに感心していた。
弟子たちの成長が嬉しいような寂しいような。
だがそんな感情は決して顔には出さない彼らの師匠……いや、オレはというと、

「よし、お前ら次の仕事だ。気合入れていくぞ！」
「はい親方！！」

――今日も暑い一日になりそうだ。




おっと、そういえばこの前の依頼元から案内状が届いていたんだった。
えーっと、なになに……

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