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ローカルニュース

明日も君と生きるために

投稿日:2008年5月17日

(Yamatoシャードローカル)




(快晴)

Spectreを父の影から追い出した後の記憶がはっきりしない。
目を覚ましたのは、ヒーラーハウスのベッドの上だった。

父に尋ねても、はっきりとしたことは教えてくれない。

でもそれで、かえって何があったのかを察することができた。
恐らくSpectreはあの後父ではなく私に取り憑いたのだろう。
この体じゅうについた疵痕は、その時のものなのだろうか。

お見舞いの品や花が沢山届いていることをアウリーナ(Aurina)
さんに尋ねてみた。あの日以来、色んな冒険者たちが私を見舞
ってくれていると聞き、驚いた。せめて直接御礼を言いたいと
思ったけど、父は頑なに反対する。何故だろう? それでも、
何か出来ることはしておかないと、私の気が済まないし、きっ
と後悔する。この町を去って、もう戻れないとなっても、彼ら
に感謝を伝えられる方法…。



「行くぞヘレナ(Helena)。何やってるんだ?」
「うん、もう少しだけ待って。これを書いたらすぐに行くから」

「あれも置いていくのか? 大事な日記だって言ってなかったか?」
「うん、とても大事な日記。けど、ここに残しておきたいの」

私がジェロームに来なかったら、此処で日記を書かなかったら、
もっと恐ろしいことになっていたかもしれない。
そのことを忘れないように・・・覚えていてもらえるように。


あの日、私たちを救ってくれたすべての人に、この感謝の気持ちが伝わりますように。






(晴れ)

そろそろ、父とシャーウィン(Sherwin)さんが帰ってくる頃だろう。
明日は暖かいシチューと、とっておきのワインを用意しておこう。
Horse's Headの奥さんお手製のチーズはまだあっただろうか。
明日確かめよう。


(晴れ)

父達がまた旅に出た。今度はデシートへ行くそうだ。
少しは休めばいいのに。パンとワインを少し用意するのが精一杯
だった。
それがなくなる前に帰ってくれると良いのだけれど。


(曇り)

長旅から父たちが帰ってきた。シェイムというダンジョンへ行って
いたそうだ。血の塊の魔物を何匹も倒したと言っていた。
その魔物と同じ姿にならないようにと言ったら、二人に笑われた。

心配しているのに。


(曇り)

図書館でデシートを少し調べた。なんでも奥のほうには、死して
尚動く魔物であふれているとか。

心なしか、嫌な風が吹いているような気がする。
父たちがその仲間にならないことを願う。


(雨)

父が血相を変えて帰ってきた。シャーウィンさんはいない。どうし
たのかなんて聞ける雰囲気はない。

とんでもないことになったと呟き、家に置いていた剣を持って出て
行った。
どこへ行くのかと尋ねたら、ブリテインと言っていた。

嫌な予感がする。


(晴)

帰ってきた父に、改めて話を聞いた。
まさかシャーウィンさんが、魔物に取り憑かれて……。
父がシャーウィンさんを手にかけたなんて……。

話や父の様子に、気になる事はあったけど、父はまた出て行った。

行き先を尋ねても返事はなく、私も強くは聞けなかった。


(雨)

Spectreのことを調べようとしたが、ジェロームでは何も判らない。
カーメリタ(Carmelita)さんにアンブラのことを教えてもらい、 早速
赴いた。ネクロマンサーのオリバー(Oliver)さんにSpectreの こ
とを話して、もしまた誰かに取り憑いた時、どうすれば助けられ る
か相談したけれど、すぐには答えてもらえなかった。

少し時間をと言われ、今日は帰ってきた。


父は、あれから帰ってこない。
父は気づいているのだろうか。自分の影のことに…。


(曇り)

もう一度アンブラへ行ってみたが、追い返されてしまった。
鬱陶しく思われても仕方ないけど、こちらも他に頼れる人はない。

もう一度行ってみよう。
それで駄目だったら、他の方法を考えよう。
長く悩んではいけない気がする。

父はまだ帰らない。
せめてどこへ行ったのかが判れば……。
予想はつく。父のことだから、多分あそこだ。
けど、それが正しいなら、そこは今は危険だと思う。
どうか父の身に何も起こりませんように。


(雨)

オリバーさんが対策を教えてくれた。
手頃な刃物なら、Cutlassで良いだろう。清めるのも大丈夫。
万一のためのDried herbsも用意した。折角だから少し飾ってみ
よう。

あとは父が帰ってくれれば……。
不安は尽きない。でも、私と父ならば、きっと上手くいく。

そう信じよう。

私の思いは届かないのか、父はまだ帰ってこない。
嫌な考えばかりが浮かぶ。
お願い、無事に帰って。


(雹)

父が帰ってきた。
チャンスだったかもしれないけど、手が震えて駄目だった。
すぐにまた出て行く父の背に、しばらくは毎晩帰ってほしいと
願い出た。父はうなずいて、一言、すまなかったと言ってくれた。
父に話すわけにもいかない。
気づかれて父に取り憑かれたら、恐らく私ではどうしようもない。

確実に仕留めるにはどうすれば…。
冷静に、その時を見極めよう。

チャンスは恐らく、一度きりだ。



























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