Geoffrey, the captain of the Royal Guard

はっきり言えば、私は報告書を書くのがあまり得意ではない。
新米たちに稽古をつけたり、ときおり姿を見せるオークたちと剣を交えるほうがどれだけ気が楽なことか。

壁の松明と机上のろうそくが影を揺らす中で、評議会に出さなければならない報告書をしたためていたそのとき、部屋の扉をノックする音が聞こえた。
「開いているぞ」
と応えると、扉の向こうから現れたのはジョセフ（Joseph）だった。
ジョセフはミノックの周辺を見回っているレンジャーだ。いまは主に、ケンダル山周辺の状況について調べさせている。

肩で息をしながらジョセフは軽く礼をし、中に入ってきた。
バタン、と乾いた音を立ててドアを閉めるやいなや、ジョセフは私の机に近寄って言った。
「ジョフリー様、ご報告申し上げます。ケンダル山周辺のオークに不審な動きが見られます」
あわてて急いで駆けつけたに違いない。よく見れば、ジョセフの皮鎧やブーツにはところどころすり傷ができている。

ミノックケンダル山周辺はオークたちに占拠されており、いまや採掘師たちの姿を見ることはない。
そのオークたちがどうしたと言うのだ。これほど急を知らせるほどの何かが？

「オークたちの中に首領格らしきものが現れ、周囲のオークやオーガたちに指示を出しているようです」
「また、そのオークはヴァロライト色の鎧をまとっておりました」
「そのオークが現れたことによって、活発な動きが確認されました。ミノックに攻め入る可能性も否定できません」

ケンダル山のオークが？

「わかった。報告早々で申し訳ないが、いますぐ評議会へ行くぞ、ジョセフ」
「はっ！」

剣の輝きに曇りがないかどうか、今日は念入りに手入れする必要がありそうだ。
剣の手入れ？　……それならば得意に決まっている。