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暴かれた悪

投稿日:2005年4月27日
new!

Ailsa Maclean, Peripatetic Bard
全シャード
評議会を治めておられる紳士淑女の皆様にご挨拶申し上げます。
私はある出来事の証人であり、本日皆様には私の心に恐れをもたらしたその出来事を物語りましょう・・・。



あの日、レディ・イヨナ(Lady Iyona Kondo)が市民に呼びかけているという噂を聞きつけて、私を含む多くのブリタニア市民達は城へと向かいました。急ぎ向かったその先では、クレイニン (Lord Clainin)、イヨナ、そしてオドリック (Odric) が姿を現しました。オドリックは困惑の面持ち、しかしながら他の二人は厳格な面持ちでありました。

「評議会の集まりだと聞いて来たのだが」オドリックは疑い困惑の目を二人に向けました。

イヨナは進み出て言いました、
「私達はこの集まりを市民の皆さんの前で行う必要があると考えました。そう、これからする事が終わってしまう前に。」

「『評議会の集まりがある』と言うから来たのだよ。他の評議員はどこに居るのかな?」

オドリックの声は大きく響き、しかしその響きには弱さがありました。今思い返すと、彼は何かを感づいているようでもありました。

クレイニンが進み出て、私達市民にに向かって言います。

「皆、エレインが病気病魔に侵されたになったときのことを覚えているか?」
「あの時は絶望したよ・・・私たち我々では彼女を癒すことが出来なかった。そこへ彼が現れて、ミナックスが持っていた自分の家宝を手に入れる事と引き換えに特製のポーションでエレインを救ってくれた。オドリック、あの時の君の手際には今でも感心させられるよ。」

「それを私の手柄というならばそう言ってもらって結構だ。」
オドリックは憮然として呟きました。

イヨナとクレイニンはその声を無視するかのように続けます。
「これも大分前のことになるが・・・、あのキーワナンが捕らえられたときのことを覚えているかな?あの時も、Mondain’s Embraceを持つミナックスのところまで導いてくれたのは・・・オドリック、君だったね。 ここに集まった皆の中にはあの作戦に参加した人もいるだろうから確認するまでもないか。
そして・・・結局そのMondain’s Embraceを手にしたのは誰だっただろうか?」

「なんて便利だったんのでしょうね?」
イヨナは冷たく、オドリックをにらみ睨みつけて言いました。

クレイニンは続けて言いました。
「それ以来しばらく私達がオドリック君を見かけることはなかった。
しかし最近になって、また君は現れた。マラベルとの会合を設定した、という貴重な情報と一緒にね。」

「ええ、そしてその結果!」
語気を荒げてイヨナは言いました。

「私達はマラベルの家が荒らされているのを発見し、そして彼女が殺されているのを見たわ。これまでの出来事はなにもかも全部てあなたに都合が良すぎるのよ、オドリック!」

「何を言いたいのかな。全て評議会の力になろうと思ってした事だったのだが。私はあなたたち君達を手助けし、そしてブリタニアを救おうとしているのではないか!」
そうオドリックは冷笑を浮かべながら言葉を返したのです。

すぐさまクレイニンは私が想像もしないようなことをその口から放ちました。
「君には何か別の思惑があるのではないかね?」
と。

オドリックはその顔になおも笑みを浮かべて・・・、私も実を言うと笑いそうになってしまいました。誰がそんなとっぴな言いがかりを信じるでしょう? 私の周りの人々もざわめき立ちました。と同時に、玉座の間の空気が徐々に張り詰めてつくのが感じられます。

「何だって? 何を根拠にそんなことを言うのだ。 話があるからとわざわざ来たのに、こんな言いがかりをつけられるとは。君達とは良い関係を築けると思っていたのだがね。」

オドリックの顔には笑みが浮かんだままでした。でも私は、彼の目が玉座の間の出口を見ていることに気がついたのです。

私の周りでは「彼は反逆者だ!」「なぜそんな言いがかりを!」という声が飛び交います。クレイニンは無表情にで前に進み出ました。彼がイヨナに目配せをすると、イヨナは大きく頷き返しました。両腕を頭の上に高くあげると、クレイニンは強張った声でオドリックに声を掛けました。

「やましいところがないのなら、そこを動かないでくれ。」

そして力で満たした声を発したのです。

Vas Wis Quas

突然、玉座の間の空気が魔法の力でいっぱいになりました満たされ、そして、驚くべきことにオドリックがその姿を変えていったのです・・・見るもおぞましい姿に! 玉座の間にはどよめきが走り、あちこちで混乱が起こりました。
クレイニンはさらに力の言葉を発しました。

Kal Ort Rel


影は群衆をかき分け玉座の間の後ろへと群衆をかき分けていき、道を塞ぐ人々の間を難なく避け、巧みにすり抜けていきました。

人々は一斉に彼の後を追いました―この人々をもってして、どうやって逃げおおせることが出来るでしょう。しかしながら不運なことに、その影そのものといってよい姿は私達の手に余るものだったようです。私や他の市民達は必死に彼を追いましたが、その余りの素早さに遂には彼の姿を見失ってしまいました。

何分かの実りの無い捜索の後、イヨナと私達は王城へと戻ってきました。
影の行方について話し合いがなされているその時、伝令と名乗る男が息も絶え絶えに走ってきました。怪しい人影がコーブに向かっていったというのです!
オークどもが占領するコーブへの追跡にクレイニンは難色を示しましたが、結局イヨナと私達はコーブへと大急ぎで向かうことになりました。

もちろんのこと、私達はコーブがオークたちでいっぱいなのを目にし、ここに再びオークたちとの戦いの火蓋が切られました。この度の戦いにおいてもイヨナや冒険者達は素晴らしく勇敢に戦い、オークたちの数は少しずつ減っていきます。

激しい戦いの中で、私達の目は影のような姿の人物を捉えました。あの男です!
彼は切り立った岩山の上から私達を見下ろし、あざ笑っていました。

「少し遅かったな」その影は氷のような笑い声を周囲の山々に響かせました。
「私の名はラムズ、オドリックは仮の名だ・・・。」
「貴様らに混沌の怒りをもたらしてくれよう!貴様らの血はその脈を焼き、その骨は塵と化すだろう!ブリタニアよ、覚えておくがよい―貴様はその胸中に新たな蛇を巣食わせたのだ!」

突然、聞いたこともないような恐怖と憤怒の入り混じった叫び声が人々の間から上がりました。私が振り返るとそこには見るもおぞましい野獣が戦士達を跳ね飛ばし、人々に襲い掛かっていました。そして・・・ラムズと名乗った黒い影はその戦いの最中、いつの間にか姿を消していました。

凄まじい戦いの後、野獣は倒れました。 同時に私達は、コーブに久し振りの静けさが戻ったことに気が付いたのです。斬っても突いても次から次へとやってきたオーク達は、今はもう見渡す限りの屍となっていました。

私達は当然のことながらこの予期しないコーブの解放に喜び沸きあがりました。それはまるで受けた傷が徐々に癒え始めていくかのような輝かしい一歩でした。
すると突然、イヨナの声が聞こえました。「あら?これは一体何かしら・・・?巻物・・・?」

そこへロイヤルガード司令官のエレイン(Elain Bayfery)がかのクレイニンから話を聞いたと息せき切らせて駆けつけてきました。

「イヨナさん!皆さん!無事ですか!?」

エレインとイヨナ、私達はお互いの無事を喜びあい、そしてコーブの解放を祝いました。イヨナはこれまでの経緯をエレインに話すと共に、先ほど見つけた巻物を手渡して示しました。

「オドリック、いえ、ラムズと名乗りました・・・が逃げる時に落としていったものだと思います。私には全くなんと書いてあるか解読できません・・・」イヨナは残念そうな様子でした。
「クレイニンに見てもらいましょう。」エレインの顔にもまた『解読できない』と書いてあるようでした。
その後、私達は再び静けさを取り戻したコーブを後に、キャッスル・ブリタニアへと凱旋を果たしたのです。



そして私は家路につき、こうしてペンをとりました。
高貴なる紳士淑女の皆様、本日起こったことをここにお知らせ申します。私の望みはクレイニンが巻物を解読し、かわいそうなマラベルがいつの日か報われる日が来ること、ただそれを願っています。


従順で謙虚なしもべ、
Ailsa Macleanより

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