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労働者

投稿日:2002年10月6日


全シャード
地面のずっと下、土と石の穴の中で、2人の労働者が1日中、忙しく動き回っていた。彼らは、このじめじめした暗い穴倉で働くことを無常の喜びと感じていた。早足で戦士の一団が駆け抜けたり、岩のトンネルの奥から剣や鎧がぶつかり合う音が響いくるといった騒ぎは、2時間前に収まっていた。もっとも、その程度のことで気が散るような2人ではない。彼らは女帝直々の命を受けて仕事をしているのだ。しかも、彼らは仕事をしながら新しい遊びを発明して、結構、楽しくやっていた。

『……じゃあ、科学者人生でいちばん恥ずかしかった体験ってのはどうだ?』ボルビン(Borvin)がクレット(Krett)に言った。

クレットは、大きな泉りの脇に組み立てている背の高い装置から顔をあげ、考え込むように顎をなでながら答えた。『いちばん恥ずかしかったこと……ですか。そりゃ、んー、むずかしいなぁ』工学博士は再び装置に向き直り、中に工具を握った腕を突っ込むと、何やら甲高い音を立てた。『それはその……、ふむ、難しい質問だよ』クレットは暗闇の中でかすかに顔を赤らめた。『たくさんありすぎて』

『いいから、ひとつ選べよ!』ボルビンは錬金術用の道具の数々を広げて、地下泉の脇の小さな椅子に腰かけていた。彼はガラスの小瓶を手に持ち、前かがみになって何杯目かの検査用の水を採取した。そして小瓶に紺色の液体を数滴落とすと、首を横に振って瓶の中身を投げ捨てた。『なんなら、私から先に話そうか』

『どうぞ、あー……、お先にお願いします』装置に頭を突っ込んでいるクレットの声は、かすかにエコーがかかって聞こえた。

ボルビンはクレットに目をやると、腕を振り上げて言った。『そんなところに頭を突っ込んだりしたら危ないじゃないか。中ではいろんな部品が動き回ってるんだろ。耳でも落としたらどうするんだ』

クレットは装置から頭を引き抜いて、ボルビンに微笑んだ。『17秒半ごとに外に出れば大丈夫なんですよ』装置は、内部で刀が回転しているのかと思わせるような、ヒュンという、聞きようでは恐ろしい音を立てた。クレットはまた装置に頭を突っ込み、調整を続けた。『あなたの番ですよ』

『ああ、そうそう。私の科学者人生でいちばん恥ずかしかった出来事だな』ボルビンはビーカーを見つめながらしばらく考えて言った。『それは、錬金術の先生を吹き飛ばしたときかな』

クレットは装置の中でクスクスと笑った。『いや、その……失礼とは知りつつ、つい……、でも、先生を吹き飛ばしたとは、これまた恐ろしい』

『いや、彼は無事だったさ』ボルビンも、かすかに腹を揺らして含み笑いをした。『どうして無事だったのかは、いまだに謎なんだがね。その先生は、父が私のために付けてくれた人でね、それは私が間もなく卒業というときだった。彼は私の才能を妬ましく思っていたんだな。私が大物になると見抜いていたんだよ』

クレットは、あのヒュンという音が鳴る寸前に装置から頭を出した。彼は別の工具を拾うと、また頭を突っ込んだ。『私も……、その、そういう先生に教わっていたことがありますよ。彼らも、私が大物になると思ってたようで……はい』

『たしかに先生の言うとおり、私は当時から大物だったよ。その頃からズボンよりも腹のほうが大きかったからな。人には変わらないものってのがある。違うか?』ボルビンは腹を手で叩きながら言った。『卒業作品として、私は新しい薬品を調合した。錬金術界をひっくり返すような新薬の発明だと私は自負していたんだが、ちょいとした初歩的なミスを冒してしまった。先生がやってきてそいつをテストしたところ、いきなり薬が爆発して、錬金術界ならぬ、先生をひっくり返ってしまった。先生は部屋の壁を突き抜けて通りの真ん中まで飛んでいったよ』

クレットの笑い声が装置の中でこだました。

『私は恐ろしくて、煤で真っ黒になったまま立ち尽くしたよ。先生は道の真ん中に倒れてる。もう死んだと思ったね。私はそこに何年間も立っていたような気がした。やがて先生はむっくり起き上がり、こちらへ歩いてきて、家に帰るよう私にやさしく言ったんだ』

『家に帰れって?』クレットは、装置の中で17秒半ごとに人の運命を決する何かをかわして頭を外に引き出した。『それで……、つまり、それだけ?家に帰れって?あ、やあ、こんにちは』クレットは少し顔を赤らめ、巣への出入りを許された2人の人間に好奇の目を向けて通り過ぎるソーレン(Solen)の労働者に挨拶をした。

『ああ、その日はそうだった。翌日からは、私は彼の下働きになったんだがね。1年半かかったよ、先生の家の修理代を弁償するのにさ』ボルビンは2種類の薬品を混ぜ合わせ、そこへ泉の水を数滴たらした。『ほう、アドラナス(Adranath)が正解だったようだ。彼らの飲み水が腐敗の影響を受けている。おそらく、彼らを今の姿にしたのは、この水だ。だが同時に、これはやつらの寿命を縮める原因にもなってるようだ』

『だからつまり、思うに彼らは……、飲み水を求めて地上に出てきたと?』クレットは尋ねた。

『あり得る、あり得る』とうなづくと、ボルビンは試験液を泉に流し、瓶や薬品を片付け始めた。『次はそっちの番だ。あんたの科学者人生でいちばん恥ずかしかったことはなんだい?』

クレットは装置に頭を突っ込んだまま、地面を手でまさぐっていた。やがて顔を出してあたりを見回した。『たぶん、それは今このときですよ……。つまりその、レンチをどこかへやってしまったようで』

『それがいちばん恥ずかしい体験だってのか?』とボルビンは聞き返した。

『いや、その、私は工具をなくしたことなんて、一度もないんですから!あれは最高のレンチだったのに。それに……』クレットは地面の上をあちらこちら探し回り、やがてトンネルの少し先で、彼のレンチを持ったソーレンを発見した。彼は珍しそうにレンチを眺め、それを歯で噛もうとしていた。『ああ!ちょっと待って!』

彼はソーレンに駆け寄り、相手を刺激しないよう静かにレンチに手をかけた。それはまるで、気難しい子供をなだめる母親のようだった。ソーレンは小さく甲高い声をあげ、クレットの手を振り解こうとした。『それは大切なものなんだから……その、返してね。お願い!これは女帝様に頼まれたお仕事なんだから、協力してね?』

ボルビンが歩いてきて、クレットの後ろに立った。彼は、手にしていた黄金色の透明な液体を満たした小さな壷を、神経質になっているソーレンの顔の前で左右に振ってみせた。『ほーら、いい匂いだろ?』ソーレンは触覚を壷に伸ばすと、すぐにレンチを手放した。そのため、レンチを取り返そうと頑張っていたクレットは後方によろめき、悲鳴とともに泉に転落してしまった。ボルビンは壷をソーレンに差し出すと、ソーレンはそれを奪い取り、カチャカチャと独り言を呟きながらトンネルを歩いていった。

『あれは、何だったの?』ボルビンに手を引いてもらって立ち上がりながら、口の中の水を吐き出し尋ねた。

『ハチミツだよ。弁当のパンに付けて食べようと思って持ってきたんだ』ボルビンはにやりと笑って答えた。『やつらは身長が180センチになって、女王は言葉までしゃべるようになったが、昔から変わらないものもあるってことだ。大丈夫か?』

クレットは濡れた顔をぬぐいながら答えた。『はい、大丈夫です』そして彼は装置に戻り、レンチを握った手を内部に突っ込んで、最後のボルトを締めた。『えーっと、これで、ここの仕事は完了ですね』

『それが役に立つと思うかね?』ボルビンは荷物をまとめながらクレットに聞いた。

『そう願いますよ。もし役に立たなかったら、そのときは、ああ……、それこそ、その、お恥ずかしいことで……』と言いながらクレットは苦笑した。

2人は、仕事を果たし満足な気分だった。新しい装置は、見た目は悪いが、女帝をはじめとするすべてのソーレンにとっては、最後の望みだ。

2人が外へ向かうトンネルを歩き始めたとき、ボルビンはクレットを振り返り、意地悪そうな笑いを浮かべて言った。『あんた、とうとういちばん恥ずかしい体験を話してくれなかったな』

『今、見てたじゃないですか』そうクレットは答えた。

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