BNN クレイトン・トレンベル（Clayton Trembell）
全シャード

デュプレ（Dupre）はその夜の安全を確保するため、野営地の見回りを済ませたところだった。敵対するジュオナール（Juo’nar）などは、見回りに神経を使うことなどないだろうことは分かっていた。警備に満足すると、デュプレは数時間の休息を求めてテントへ向かった。彼はその夜が一睡もできずに終わることになると多少なりとも気付いていたのかも知れない。この物語はデュプレの野営地にいた夜警長から私に伝えられたものである。

「私が見張りに立ったのは、デュプレが眠ることなく視野計の周囲を歩き回ることを終えて、ついにテントに潜り込んだ頃だった。私のくだらない意見を言わせてもらうならば、彼はよい性格を持つだけでなく優れたリーダーでもあったが、自分の身体を酷使し過ぎている。デュプレが休んでくれたことで、私の願いは平穏な夜を過ごすことに向けられた」 「私の時計でほぼ１時間後にはデュプレがテントから神経質そうに飛び出し、残念ながら私の願いは満たされることはなかった。彼はしばらく周囲をうろつくと私に向かって歩み寄ってきた。それは目覚めている者の中では最も階級の高い夜警長の私に様子を聞くためだろう。そのデュプレの行動ともろもろの状況が、彼が数日間ブリテインに滞在して以降起きている」

デュプレはつかの間横になり目を閉じると、その心はミノックの友人ジュリア（Julia）のもとへと飛んでいた。ジュリアは復讐心に燃えたトロルのG’Thunkにより命を落としているのだが、これはFOAの仕業に違いない。しかし、実際にジュリアがどのように関わっていたのかは不明だ。王室衛兵のハルストン（Halston）ならば少しは詳しいのだろう。

ジュリアは墓石の後ろから突然姿を現してデュプレへのメッセージを伝えた。彼女によれば、エーテルの虚空世界に最近到着したゴーストが極めて動揺していたと言うのだ。そのゴーストはロード・ブリティッシュ領域のある情報について興奮して話を続けたと言う。しかし、決してその詳細は語られることはなく、その真実は彼女のまわりの他の霊的存在にも認められることはなかった。ジュリアによれば、その幽霊が知っていたのは「ジョエ（Joye）」という名前、そして伝えることに失敗した何らかの情報によって、彼女自身が呪われてしまったと言うことだけだ。

そのため、ジュリアはこのゴーストの説明を理解できる誰か、そしてブリタニアを守ることができるかも知れない情報を役立てられる誰かを探している。彼女はまずロード・ブリティッシュに伝えることを考えたのだが、居場所どころか手がかりさえつかめずにいた。そして次にロード・ブリティッシュの信頼する支援者を求め、最初に見つけることができたのがデュプレであった。

デュプレがメッセージを受け取ったと納得したジュリアは、わずかに微笑むとその姿を消した。ブリテインに住むジョエと呼ばれる司書が、ミナックス（Minax）と何らかのいざこざを起こしたことだけは噂で聞いている。このような闇の時代に野営地にいたのでは正確な情報を得ることは困難だ。ジュリアのメッセージを受け取ったデュプレはブリテインへと急いだ。

ブリテインに到着すると、デュプレはジョエを探すためさっそく翌日にブリテイン王立図書館を訪れた。彼女の姿を見つけることができなかったため、彼はニスタル（Nystul）にこの若い女性の捜索を依頼することにしたのだが、ニスタルの答えはデュプレが到着するわずか前に、ジュオナールの手先らしき一味にジョエが殺害されたという悲しい知らせだった。

デュプレは取り乱したものの、ニスタルは殺された司書にコンタクトする方法が必ずあると伝えた。しかし、それはたやすい方法ではなく、５人の勇敢な魂が自らを犠牲に幽霊となってエーテルの虚空世界でジョエを探さなければならないと言う。たどり着いたときに何が起こるのか、５人のボランティアを無事に虚空世界から連れ戻せるのか、ニスタルでさえその点には明確ではなく、今でもその方法を模索していると言う。

夜警を続ける私にはあまりにも難解なパズルだ。ジュリアがデュプレを訪れ、ジョエが殺害される直前に彼女の話が伝えられた。まるで私の魔術の勉強と剣の訓練で陥るパラドックスにも似ている。

以上、ブリテインの酒場から常に最新のニュースを送りつづけるクレイトン・トレンベルのレポートでした。