MMAP 特派員：ディオーネ（Dionne）

風に舞った文字の印刷された紙。やがてふわりふわりと重力に引かれて地についた。
偶然？・・・いや、何かを感じ取ってこの地へ来たであろうその男はアルフォンス（Alphonse）だった。

彼の足は一枚の紙切れを躊躇なくぐしゃりと踏み潰していた。




＜＜＜　MMA Press No.3510　＞＞＞

■発見された封印の書物！■
それはムーングロウの南の古い農家に保管されていたらしいんだけど、どうやら前にライキュームで発見された書物の上巻だったようなの。
そこには、魔法生物のこと、それから受けた呪いを解くための秘薬酒を調合する材料のこと等が書かれていたらしいわ！これを用いることでWさんの病状を回復させることができるかもしれないそう考えたR君は、早速その本の解読を受講生と共に行ったそうよ。

■Wさんに回復の兆候あり！■
R君と受講生の活躍のおかげで、魔物から受けた呪いを解くための秘薬酒が完成し、それは早速Wさんの元へ届けられたわ。苦しそうに秘薬酒を飲み込んだWさんだったけど・・・しばらくすると顔色も良くなりみるみるうちに元気を取り戻したそうよ！用心のためにまだまだ安静が必要だけど、一安心ってところかしら。

■ラブ（love）ちゃんの無念■
しかし、Wさんの回復に使われた秘薬の裏には悲しいお話があったわ。
それは我が学園でも愛されていた荷馬のラブちゃんのこと・・・。
用務員のボリック（Boric）さんが大層可愛がっていた荷馬のラブちゃん。
R君が、透き通るほどに透明で芳醇な出来たての美酒と、一定の期間冷暗所に保管し熟成させた秘薬を取りに行くのに同行させたんだけど・・・そこに現れたのはあの魔法生物に憑り付かれたアルフォンスさまだったわ！
どうやら魔法生物に支配されたアルフォンスさまは、その力を取り戻すべく周囲の生物を殺しては滴った血から魔力を吸収していたようなの。
そんな時に居合わせてしまったラブちゃん・・・みんなは慌ててラブちゃんを守るべく、隠遁の魔法をかけたそうなんだけど受講生達の努力も虚しく、魔法生物に支配されたアルフォンスさまに殺されてしまったというの・・・。
我がMMAのアイドル的存在でもあったラブちゃんとそんな悲しいお別れをしなければならないなんて・・・。
私も事件があって数日後にその地を訪れたけど、悲しくて涙が止まらなかったわ・・・ただ、ひたすらに冥福を祈ることしかできない自分が情けなかったわ・・・。

MMA Pressではひき続き取材をし、情報が入り次第みなさんに真実をお伝えします。




「・・・ふん、どう足掻こうが所詮人間。せいぜい騒げばよい。」

うすら笑いを浮かべた口元に、再び強風が吹き荒んだ。共に足元から飛び去っていく紙切れ。 MMAの関係者が訪れていたこの地を踏み躙り、アルフォンス・・・いや、その体に憑り付いた魔法生物は呟いた。

「次こそはその命奪い取ってくれようぞ。」

遥か遠くマジンシアの方向を見やった冷たい目線、気がつけば次の風と共にその姿は消え去っていた。