MMA Press 特派員：ディオーネ(Dionne)
Sakura
ベッドで一人ゴロゴロと転がっているラルフ（Ralph）はいつまで経っても寝付けないでいた。
「ったくよ・・・一体どうすりゃいいってんだ。ウェンディ（Wendy）も何考えてるかわかんないしよ。」
小声でぶつぶつと文句を言いながら、ラルフは本日付で配られた学園新聞に目を通していた。




＜＜＜　MMA Press No.3508　＞＞＞

■続く事件！下された処分■

我らが学園マジンシアマジカルアカデミー（Magincia Magical Academy:MMA）で大事件が発生した後、先生達はてんやわんや、理事会まで大慌てときているところらしいんだけど、まだまだ事件は謎に包まれているわ。
そんな中、事件のきっかけを作ってしまった男子生徒（R君）と女子生徒（Wさん）に処分が下されたらしいの。
先生達のお手伝いをして事件を解決する・・・ってぐらいしかわからなかったんだけど、そこはMMAP特派員、ディオーネ（Dionne）頑張っちゃいました！なんと、その現場に同行していたという受講生達の話を聞いちゃった！ロッカールームの中に隠れてこっそり盗み聞きだったんだけど、その現場は想像以上にすごいものだったらしいわ。

■封印すべく向かったその先には・・・？！■

学園長から処分を言い渡された男子生徒（R君）と女子生徒（Wさん）は、自分達が壊してしまった禁忌の魔物が封印されていた壺に関して独自に調査をした結果、その封印のための材料を記した本を発見したみたいで、早速材料を探しに出かけたらしいわ。
なかなか危険な場所にある材料だったみたいだけど、それはわりとすぐに入手できたらしいわ。
でもなんと！最後に使う装置をアルフォンス（Alphonse）さまの体を支配した魔物によって破壊されてしまったっていうの！
しかもR君とWさんも危うく命を奪われそうになったっていうからもう大変！しかしそこは冒険慣れしている受講生達のおかげでギリギリセーフ！ピンチを乗り切ったらしいわ。でも魔物はアルフォンスさまの体を盾に取って逃走したみたいなの。
二人が助かったのは良かったけど、結局魔物に邪魔されて封印の材料は揃わなかったってことになるわね。
我らが憧れの生徒会長、アルフォンスさまの事も心配だし・・・この先一体どうなっちゃうの？！

MMA Pressでは更に取材をし、情報が入り次第みなさんに詳細をお伝えします！




「ちぇっ、俺達はこれでも必死で頑張ったんだ・・・」


そう呟きつつ、ふとダンジョンでの出来事を思い出したラルフは身震いし、手に握られた新聞はクシャクシャになった。
魔物に体を乗っ取られたアルフォンスの回りに漂っていた邪気は思い出すだけでも恐ろしいものだった。

「んー・・・アルのやつもなんとか助けてやりたいよな。憑依されてるだけなんだし。あー、でも元に戻ったら・・・またウェンディと仲良く・・・・・・って、だーーー！もうわけわかんねぇ！！」

再びゴロゴロと転がりまくってしまったために、不覚にもベッドの角で頭をぶつけてしまって声を押し殺して痛みを堪えるラルフ。
何とも言えないキモチを抱えたまま、眠れない夜はまだまだ続きそうであった。