全日本シャード
とあるオフィス内に同じ姿かたちをした七人の男たちが集い、その中の一人が口を開いた。

『私たちがこの時期にここに揃ったということは、もはやそれぞれの状況を説明する必要はないということでかまいませんね？』

残りの六人が一斉に頷き、その中の一人の男が口を開いた。

『うむ、まさか食料回収日直前にオークたちに持ち去れようとは…。私のところでは、勝利を祝うための準備まで進めていたところだよ』

別の一人が笑いながらすかさず発言する。

『マーフマフマフフフ…、それは早急すぎやしないかね？　結果はまだ確定してやしませんよ。それにこれは期限内に起こった事件です。そのことも考慮にいれるべきですよ。この結果如何で逆転なんていうことも…』

さらに別の一人が話し始める。

『諸君、今はそんなことを話しているときではありませんよ。この事態をどうするか、それをまず話そうではありませんか。実は私のところでは独自に調査員を雇って既に手掛かりを掴んでいるのですよ』

もう一人の男が相槌をうちながら答えた。

『奇遇だなきみのところもか』

すると全員が頷いた。

『うむ』

七人のうちの一人が立ち上がりながら話し始めた。

『どうやら私たちの状況は同じようですね。オークどもはやつらの根城を封鎖しています。いくら屈強の冒険者であろうとあの壁はそう易々と崩せそうにありません。それに、その壁を崩すための特別な大砲の準備を始めたものの、その準備にはやや時間を要してしまいます。おそらくその完成を待っていると食料の大部分がオークどもの腹の中へ収まってしまうでしょう』

他の一人が続けて話し出した。

『しかし私たちの調査員はある答えを持ってきたはずですよ。新たに発見された徳之諸島の禅都という街に、オークどもの根城へ忍び込むため、あの壁をよじ登ることができるニンジャがいると』

隣の男がさらに話を続けた。

『しかしその者は彼が何処かへ無くした道具を探さねば動かんの一点張りだそうではありませんか。諸君らもそうだとは思いますが、私のところでは今もって見つけることができていません』

その隣の男が頷きつつ話し始めた。

『彼の言うものを見つけ出せさえすれば、大砲の完成を待つ前に早々にオークどもの根城へ侵入し、食料を取り戻せるのだが…。はてどうしたものか…』

その隣の男が何か閃いたようにそれに応えた。

『諸君、この状況こそ団結力、行動力が試されるに相応しいときではないだろうか。是非この一件も冒険者たちの中から有志を募り、探索に協力してもらおうではありませんか。そして先の食料収集の結果に加え、その食料をオークどもから回収するまでの期間も考慮に入れ、その結果を判定するのです！』

一同頷きそれぞれの目を確認すると、男たちはそれぞれ別のシャードへ転送していった…。

…そして同じ頃、とある過酷なシャードでこの男たちと酷似した男が同様に何か閃いていた…。