a citizen
全日本シャード
『では、オーティス（Otis）くん、集積所の方は頼みましたよ』男はマフィン片手に話をまとめた。

『はい、市長。首都防備のための食料、収集を開始します。集積所は先日ブリテイン北に建設された防壁から、やや東に位置する鉱山内に設ける予定です』オーティスは、地図を指差してきぱきと答える。

『よろしい、進めてくれたまえ。首都防備はロイヤルガードのみに頼っている場合ではないからね。市長としても、独自に何か役に立つべきだと考えたのですよ』そう伝え終わると男はマフィンを口にした。


〜数日後〜

『市長、あっという間に集積所の食料が許容量を達成しました』オーティスが男にそう伝える。

『な、なんと！　それは素晴らしい！　では集積所を拡張するとしましょう』男は手にとったマフィンを強くつかんでそう言った。

『わかりました。至急作業員を派遣いたします。』そういうとすぐにオーティスは集積所に向かい駆け出すのだった。


〜数日後〜

『市長、拡張した集積所の許容量も一瞬で達成されました！』集積所から戻ったオーティスはすぐに男に状況を伝えた。

『なんですって！？　拡張はきちんと行われているのかね？　もっと大幅な拡張が必要ではないかね？』男は手につかんだマフィンを力強く握り立ち上がった。

『は！　さらなる拡張に早速取り掛かります』オーティスは集積所に向かい、全力で駆け出した。


〜数日後〜

『市長！　拡張が追いつきません！　有志諸君の結束力は我々の想像を遥かに越えています！』オフィスへ戻ったオーティスは息を切らしながら男にそう伝えた。

『マ、マフマフ！　いけません！　いけませんよ、オーティスくん！　彼らの期待に応えるべくさらなる拡張！　拡張あるのみですよ！』男の手の中にはマフィン。もはや原形をとどめていない。

『は！　人員を増強し、さらなる拡張に取り掛かります！』

『よろしい、これだけの食料があれば、首都防衛用食料はひとまず足りるでしょう。しかし、長期戦となることも考えられます。残り半分の日数をかけ、その分も蓄えておくとしましょう。さぁ、我々も有志諸君たちに負けてはいられません！　すぐに拡張を！』

『わかりました！　と、ところで市長、何をそんなに大量に作成されているので？』男のバックパックから溢れ出したものが気になったオーティスは男に尋ねた。

『ん？　あぁ、これは有志諸君たちへの記念品ですよ』男はマフィンまみれの手で作業を続ける。

『ひとつひとつ市長の手作りなんですか？』

『もちろんですとも！』


……同じ頃、とある過酷なシャードの一室でこの男と酷似した男が同様に何かを生産し続けていた……。