Terrence The Storyteller


ブリタニアの静かな静かな夜。

小さな村の一軒家、明かりの消えた子ども部屋。
眠れぬ子どもに語って聞かせた、
老人のおはなしもそろそろおしまいのようです。


「ナターシャ（Natasha)はその後、
　何十年にもわたって村を治めたんじゃ。
　もちろん前の村長のようなずるい手段をとらずに
　村を大いに発展させたからなんじゃがのう。
　そして多くの人に惜しまれつつも、
　偉大なその名を残して死んでいったんじゃ」

「へー。ナターシャさんてすごい人だったんだね」

「うむうむ、そうじゃろそうじゃろ。
　人並みはずれた正義感をもち、
　どんな困難にもあきらめたりせず、
　知恵と勇気を兼ね備え、そして・・・」

「そういうことじゃないよ」

「む？」

「結局自分はなにも手を汚さずに、不仲なだんなキース（Keith)と
　けんりょくにおぼれたカーチス（Curtis）を利用して、
　折り合いのつかないレオン（Leon）をけしたんでしょ。
　そして自分は長となり、ふどうの地位とけんりょくを手にいれた。
　いちばん楽をしていちばん得をしたのは、だあれ？」


静かな夜に、一陣の冷たい風がぴゅうと吹きました。

いつかどこかであったできごと。
いろんな夢と、恐怖と、欲望のおはなしもこれでおしまい。

眠れぬ子どももそろそろ眠くなってきたようですね。
さあ、今度こそ・・・おやすみなさい。