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BNNストーリー:蔓延する絶望 |
2002年5月17日 |
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諸君、私は希望と言うものを遥か遠くにして疲れきってしまった。私の目はかすみ、そして常に襲ってくる咳の発作にも悩まされている。私はもはや剣と盾を持つ事はかなわず、正義の徳のために戦う事も出来ない。そればかりではなく、この弱った手は愛する我が子を抱きかかえる事さえ許さぬのだ。遥か昔、私達の愛したユーは最も偉大な聖地のうちの一つであった。そしてそれは今、我々の病への同情を示すかのように朽ちている。私は、あなたが手遅れにならないうちにBNNを読む事を祈るのみだ。
アドラナス(Adranath)は、すでに湿地と化したユーの泥の中へ足を滑らせた。周囲には、脈打つような腐敗の毒気が自分自身をも貪りながら、ゆっくりと、しかし手当たり次第に生命を飲み込んで行く様子が肌で感じられた。身の毛もよだつようなその強い感覚は、自然の力を操る者にとれば、感じ取ろうと精神を集中させるまでもなく否応なく伝わってくる。その地域一帯には、重苦しい砂埃のように疫病の胞子が舞っていた。歩くと、体の周りの空気が渦巻くのが見えた。アドラナスはクレイニン(Clainin)の研究所を思い出した。そこには、何百という書類や古書が整然と書棚に並んでいたが、どれも塵ひとつ被っていなかった。
これが終末への道筋なのであろうか?これが私達がブラックソンと彼の同盟と戦うのではなく、病によって誘発された哀訴を携えこの世を去っていく有り様なのであろうか?私はこの忌まわしき蔓延する絶望を遠ざけてくれる何処かの誰かに祈るばかりだ。
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