*バタンッ*

メグ：「ただいま〜」
マーク：「……」


マーク：「う〜む……」
メグ：「ど、どうしたんですか。いつになく真剣な顔をして」
マーク：「あ、メグさん、おかえりなさい」
メグ：「なにか考えごとですか？」
マーク：「ええ、この床にあいた穴なんですが」
メグ：「ああ……それはこの前サラさんが、その、爆発薬を……」
マーク：「そうでしたか。いえ、なにやら穴の奥から、妙な音というか、うめき声のようなものが聞こえた気がしたものですから」
メグ：「えっ！？　ま、まさか、そんなわけないですよ。だって、床の下ですよ？」
マーク：「たしかに。気のせいだったのかもしれませんね」
メグ：「そ、そうですよ！　床下から人の声なんて、聞こえるはずないですって」


*ウオォォオォォン*

マーク：「……」
メグ：「……」

*ガチャリ*　*バタンッ*



モーリス：「ただいま戻りました。……おや？　二人ともどうされたんですか？」
メグ：「も、モーリスさん！　こ、こここ、この穴の中から、ひ、人の声が……！！　どうしましょう、どうしましょう！」
モーリス：「落ち着いてください。床の下から人の声が聞こえるなんて、ありえないですよ」
マーク：「それが聞こえたのです！　ワタクシもメグさんも、しっかりとこの耳で聞きましたから間違えありません」
メグ：「なにか良くないことが起きる前触れなのかも……私とっても怖いです！！」
モーリス：「なるほど。私はその声とやらを聞いていませんから、なんともいえませんが……ふむ、人の声ですか」
マーク：「人ではなく、恐ろしい獣……いえ、魔物の声のようにも聞こえました」
モーリス：「そうですか。もしかすると、今は街の北西に墓場がありますが、以前はこの辺りが墓地だったのかも……そのせいで……」
メグ：「ひぃ！」


メグ：「……って、なんで夜でもないのに、急に暗くなるんですか！？」
マーク：「これは、いよいよ姿を現すかもしれません。二人とも気をつけてください！」
メグ：「ちょ、ちょっと、姿を現すってなにがですか！？　変なこといわないでくださいよ！」

*ウオォォオォォン*

マーク：「来る……！」
メグ：「いやあああぁぁぁぁぁぁ！！」
モーリス：「ふむ、そういうことでしたか。二人とも落ち着いてください。なにも起きやしません」
メグ：「え？」
モーリス：「今の声……いえ、音は風のせいですね」
マーク：「風！？　あのおぞましい魔物の声の正体は、風だというのですか！？」
モーリス：「ええ、恐らくこの穴のせいで、床下の風通しがよくなったのでしょう。今日は風が強いですから」
メグ：「ほ、ほんとに？」
モーリス：「間違いないと思います」
メグ： *ホッ* 「マークさんが、はじめに変なこというから、こんなことに……」
マーク：「いや〜、面目ない。しかし、なにかが現れたなら、それはそれで面白かったのですが」
メグ：「全然面白くないですから」
モーリス：「まあ、とにかく紛らわしいのは事実ですし、さっさと床を修理してしまいましょうか」
メグ：「そうですね！」



マーク：「それにしても、なぜ夜でもないのに、先ほど急に暗くなったのでしょうか」
メグ：「……」

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