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戦いの報酬

投稿日:2001年9月28日


全シャード
疲れきっていた…。ギルヘムは持っていた槍を力なく地面に落とすと、沼地の岩に重々しく腰を降ろした。サベージの生き残りたちは彼の怒りに触れぬよう、用心深くその場を離れていった。数週間前、ギルヘムの主はサベージ族による街への攻撃回数を増やすように命じたのだが、彼らの軍は敗れ、この沼地に居ざるを得なかったのだ。彼はたった1つの街でさえ占領できる可能性はゼロに近いとわかっており、そのことを主に伝えようとも努力したのだが、ひとたび命令が為された時には、その内容に忠実に従うことが要求されるのもわかっていた。過去に命令に背いたことで罰を受けたことのあるギルヘムは、同じ思いはもう二度としたくなかった。彼は罰の内容を思い浮かべ、身震いした。

主から最初に彼に与えられた使命は、彼にとって侮辱とも思えた。そのことを表情にすら表さなかったが、粗野な部族の寄せ集めを率いてオークの居所を襲い、オークをその地から追い払うという嫌気のさすものだった。部族と生活を共にし、彼らの信頼を得ることが求められていた。しかし、ギルヘム自身も驚いたことだったのだが、実際に原始人たちと生活を共にしてみると、それは実に快適なものだった。彼らの伝統としきたりを学び、それに友達と呼べる存在までができるようになっていた。彼の人生で今まで罪悪感を感じたことは一度たりとも無かったが、今になって彼は罪の意識に苛まれていた。それは、サベージたちを住処から遠ざけ、自分が殺戮の場へと送り込む引き金になっていることへの罪の意識に他ならなかった。

心落ち着かぬまま、苛々とあごをこすっているうちに、サベージペイントの一部が剥げ落ちてしまった。すぐにでもペイントを塗りなおさねばならないだろう。やがて何故だろうか、痒みが腕から脚へと広がり、少しすると体全体を包み込んでいた。とたんに彼の肌は何も感じなくなり、動くことも話すこともできなくなってしまった。動こうという感覚はあったのだが、彼の目からは光が失われ、心も空っぽになっていたのだ。すでに意識からは沼地にいるという覚えはなくなり、ただ冷たい岩の上に身を横たえていた。周囲からはかすかにカチカチという音が聞こえ、閉じたまぶた越しに微かな光が動き回っているのが見えた…。

「ギルヘム、私はかつて重大なことは一度も中断したことは無かったと思うが?」主人が言った。

「何週も前に報告できたんじゃないのか!説明してもらおう!」続けるように主人にへつらう下僕が声を荒げた。

ギルヘムは出し抜けの罵倒に耐えつつ、部屋の強い明かりの中でぼんやりとした目を瞬きながら、身を起こしてその場に直立した。主の下僕をひどく嫌っていたギルヘムだったが、彼は慎重に軽蔑の表情を浮かべないようにと努めた。失敗の報告をするにあたって、その状況から生き抜くあらゆる可能性を残しておきたかったのだ。

ギルヘムはしっかりとした口調で答えた「数日間で人間たちは我々から完全に街を取り戻しました。彼らは強すぎるのです。サベージ軍の勝利の余地は全くありませんでした。我々は沼地へと退却せざるを得なかったのです。ご主人様、どうぞこの私の失敗をお許し下さい。あなた様にお仕えすることこそが私の望みなのです。」言葉には出したが、最後の言葉は嘘だった。

少しの沈黙の後、主が口を開いた。「ギルヘム、お前はよくやった。私は今回のお前の乱心を失敗とは考えていないのだよ。」

「乱心ですって?!」ギルヘムは叫んだ。主人の怒りを起こすまいと必死だった。何百、いや何千もの仲間たちが虐殺されたというのに…それが全て乱心のためだというのか。「乱心……ご主人様、私には理解いたしかねます…。あなたが私にサベージ族を街へ送り込み制圧するよう命じられ、そして私たちは敗れたのです。」

「確かに」主人は続けた。「お前の率いた部族どもは十分ブリタニアの民を苦しめた。おかげで我々のここでの作業が明るみに出ることは無かったからな。おとりとなってくれたことには礼を言うぞ。」

「しかしだ。我々の資産は安全というには程遠いのだぞ。」低い声にギルヘムは驚きを隠せなかった。興奮のあまり、彼は光の影に立つ暗いクロークに身を包んだものに気づいていなかった。

「我々はまだ脱走者という問題を抱えておるのだ。」謎めいた低い声だったが、その中には力強いものが感じられた。「やつらはすぐにでも我々のことを暴露しようとしておる。今人間にあの街が見つかってしまえば、我々の力の結晶も水の泡だ。サベージを使ってブリタニア民の気をそぐことはできた。しかしこれでは発見される日もそう遠くはなかろう。我々にはまだ時が必要なのだ。」

ギルヘムは緊張してその場に直立していた。彼は今まで主人の前で、例え同格であってもこのような物言いをする人物を見たことが無かったし、罪とは程遠い理由で主人に殺された者を何人も見てきた。しかし驚くべきことに、主人は謎の人物にこう答えたのだ。「どうすれば良いと思う?」

「今こそゴーレムを放つべき時だ。ブリタニア民はまだオークとサベージに巻き起こされた混沌から抜けきってはおるまい。いずれにしても脱走者は鬱陶しいままだがな。十分な数のゴーレムは用意できている。これだけあれば、我々が"コントローラー"を使って脱走者を見つけ出し、我々から注意を逸らしておくには十分なはずだ。安全を確保するには十分な時間となるだろう。」

羽虫が飛び回り、止まる様子がよく聞こえるほど長い沈黙が続いた。「フォゼフよ、コントローラーたちにこの新しい計画を伝えるのだ。すぐに実行せよ、と。」下僕が主人の命をスクロールに書き留め部屋を出て行く間、ギルヘムはじっと待っていた。「ギルヘム、前へ出よ。」

ギルヘムは一歩前へ出した脚が小刻みに震えていることも、顔に浮かんだ不安な表情も隠すことができないとわかっていた。彼の心には怒りと困惑とが駆け巡っていた。謎の人物の方は見ないように努めていたが、その人物はゆっくりと部屋を横切るように歩くと、ギルヘムに影を落とし、その背後で立ち止まった。

「ギルヘム、私に隠し事ができると思わん方が良いぞ。お前はよく仕事をこなしはしたが、あの部族どもへの愛好の念が生まれているのもまた事実。」主人はいつもと変わらない口調で言った。

「私は……私は、彼らのことを良く知るようになったのです。ご主人様、私の目的は常にあなた様に……」

「目的を決めるのはこの私だ。それを報酬として感じ取るのがお前の役目。いまだに原始人と同じ格好をしているのは、お前が奴らの一員となりたいからに相違ない。」暗く青い光がギルヘムを包み込み、ギルヘムの体は冷たい床から少し浮き上がった。彼は叫ぼうとしたが顔は驚愕と恐怖のために硬直していた。「つまりお前は奴らのように絶えるべきなのだ。」 ギルヘムは温かいものに気がついた。それは背後からあの謎の者に突き刺され、迸り出る自分の血であった。背骨をふたつに圧し折るような痛みの中で、彼はサベージたちの故郷を思い描き、小さな、血にまみれた微笑を浮かべた。直後、彼の体は床に叩きつけられていた。

「かの地へ赴かねばならぬ。我々はまだ安全を確保していないのだ。」クロークにかかった血のことなど気にとめる様子も無く、闇の者が言った。

「さしあたり、」主人が答えた。「いや、すぐにでも確保できるだろう。ブリタニアの民は我々の力にかなうまい。脱走者もすぐに見つかり、そして国は我々の手中に落ちるだろう。」

背後に転々と深紅の雫を残しながら、その者は部屋を後にした。

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