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戦火に残された希望 - I

投稿日:2001年2月9日

JP Reporter
全日本シャード

ニスタル(Nystul)は研究室の椅子に腰掛け、永遠とも思える時を経たかのような古い革表紙に飾られた大きな本に顔をうずめていた。老魔道士は静かに息を吸い込みながら顔を上げると、傷を付けまいとゆっくりと古書を閉じた。古書にはかつて強力な神秘の力が秘められていたのだろうか、やんわりと青白い光を放っている。
ある者はそれを信じてやまない。『真実の本』…ほとんど人の目に触れたことのないその古書がニスタルのもとへ届けられたのは今日の昼前のことだった。ライキューム研究所(Lycaeum)のどこかに納められていると言われながらも、具体的には誰もその正確な場所を探す術を知らずに今日まで保管されてきたのだ。

ニスタルはライキュームに入ってきたマリア(Mariah)が教壇から何かを手に取り、また部屋を出ていく様子を見つけると、アノン(Anon)に向かって微笑を投げた。アノンは険しい表情をあらわにしたが、ニスタルは気にとめる風もなくなおも微笑み続けていた。 彼の怒りは、ニスタルが計画のすべてをすでに実行してしまったことに違いないのだが、何にも増して自分がその計画に参加できなかったことに他ならなかった。 しかし、古い友人でもあるアノンがそのことを理由にニスタルを憎むなどあり得ないことをニスタルは知っていた。

『いつの日か』彼は考えるように続けた。『すべては丸く収まるじゃろう…』

ニスタルは、元々想像や予測に頼るような人物ではなかったが、かつてそうだったように若さによる理論を振りかざす若さを保ってはいなかった。 若い頃には偉大なる魔道士として名を馳せたものの、今ではその呪文の一つ一つが彼の命の活力を奪っているかのように思えた。 彼は苛立ちから足を踏み鳴らしていた。年老いた魔道士の人生最大の目的を成し遂げるには、どうしてもあと1つだけ必要なものがある。 パズルの最後のかけら。それはデュプレ(Lord Dupre)とジョフリー(Lord Geoffrey)の両卿の手に握られているはずだ。

ニスタルは燭台の置かれている部屋の反対側に視線を向けた。 クリスタルで作られたランタンのような「愛のロウソク(Candle of Love)」は、FoA(Followers of Armageddon)による問題が起きるまでエンパス修道院(Empath Abbey)に密かに安置されていたが、 今では何事も起きる気配もなく黄色がかった柔らかな輝きを落とし続けている。

『ジュリア(Julia)…』ニスタルは呟くとため息を漏らした。
『いつの日か』そして続けた。『おまえの意思を引き継ぐものが出てくるじゃろう。だが、決しておまえの名が人々の記憶から忘れ去られることがあってはならん…』

ニスタルは燭台の隣に古書を置いた。すると蝋燭の明かりが革表紙の青い光と交わり、鮮明な緑色の輝きを見せた。

『正義…』ニスタルは呟くと優しく微笑んだ。

この2つの物はソーサリア三大原理のうちの2つを具現化したもの、そして3つ目こそが彼の友人達がサーペンツホールドから持ち帰るはずの「勇気の鐘(Bell of Courage)」だ。 その旅には両卿が必要だった。唯一、鐘の正確な場所を知るデュプレ卿、そしてジョフリー卿だけが台座から取り外すことができる。ニスタルは先に彼らと相談した計画を再び回想していた。

『それが重要じゃ…』老魔道士は自分に言って聞かせていた。

そのときだった。デュプレが険しい面持ちで戸口に姿を現した。

『デュプレ!鐘は持ち帰ったか?』ニスタルは願うように訊ねた。

『だめだ』デュプレが吐き捨てるように言い放った。

『それと持ち帰ったという栄誉もな』ジョフリーはそう言いながらデュプレの脇をすり抜けると、薄暗い明かりの灯る小さな部屋に入ってきた。

『だめじゃと?何が起きたんじゃ?』ニスタルは困惑した顔で質問を投げた。

『粉々さ』デュプレは息を吐くと剣の鞘を強く床に叩きつけた。

『粉々?一体なぜに…、場所を知るものは誰もいなかったはずじゃぞ!』

『台座の置かれた床の上にこれが残されていたんだ』ジョフリーは束ねたカラスの黒い羽を勢いよく放り投げた。

『魔女か!』ニスタルは激怒した。『ミナックス(Minax)が何故鐘の隠し場所を知っていたのじゃろうか』

『そうであるなら、私にもそれは分かっていたはずだが…』デュプレは、ため息をつくと小さな椅子に腰掛けた。

ニスタルは一瞬凍りついたかのように固まっていたが、生きている証拠に再び瞬きを始めた。

『デュプレ、それについてはまた後で考えるとしよう。今は新しい鐘を造り出す方法を見つけることが先決じゃ』ニスタルは彼の書棚に近づいていった。

『新しい鐘を造るだって?』疑問にはジョフリーが最初に反応した。

『ああ、そうじゃ。元からあったものも何らかの方法で鍛造されたはず。何も希薄な空気から沸いて出たわけではないはずじゃ』ニスタルは中空に両手を掲げながら伝えた。
『これら3つの物はすべて、徳自身の持つ神秘の力を使うことで誰かの手によって造られたことは間違いない。そう、今では時代遅れともとられがちな三原則、真実、愛、そして勇気を使ってな…』

デュプレは顔を上げた。『我々は何をすればいいんですか?』

ニスタルは微笑んだ。『まずは休息を取るんじゃ。おまえたちの顔はどう見ても何日も寝ていないように見えるぞ』言い終わるとニスタルは戸口に向かって指を差し出した。

2人はうなずくと部屋を去っていった。

ニスタルは椅子に崩れるように座り込むと深々とため息をついた。

『卑劣な魔女め…』彼は噛むように低い声でつぶやいた。

デュプレとジョフリーが部屋を去ったことでニスタルの緊張はやや薄らいだようだ。 朝には一番で旅に出なければならないことは分かっているのだが、時が過ぎるのが妙にゆっくりと感じられた。 老人は立ち上がると古書を書棚の元の位置へ戻して寝室へと向かった。
「明日は面白くない一日となるじゃろう…フェルッカのムーングロウを訪れるということは何かのトラブルが起きることしか考えつかん…」思惑は堂々巡りになっていた。





ニスタルは夜明けと共に目を覚ますと、秘薬を充分に袋に詰めてベルトに縛り付けて呪文書を片手に握り締めた。 彼は階段を足早に降り、城の広大な中庭に出ると、人気のない朝焼けの中、ガード圏外まではわずか数分の事だった。 圏外の森の中に入ると、ニスタルはムーンストーンを足元に置き、それが大地に吸い込まれていくのを見守った。 次の瞬間、面移動のゲートが開き、ニスタルは駆け込んで安全なトランメルを後にした。

ニスタルの寝室へ辿り付いたデュプレは拳で強く扉を叩いた。

『ニスタル!』彼は大声を上げた。

デュプレは返事がないことを確かめると踵を返して廊下を駆け出した。衛兵に目を留めると詰め寄った。

『ニスタルを今朝見かけなかったか?』

『はい、デュプレ様。ニスタル様はつい数分前に城を後にされました。』

デュプレは懸念そうな顔つきになりさらに訊ねた。『行き先について何か言っていなかっただろうか?』

『いいえ、私は声をお掛けしませんでしたので、単に出て行かれるニスタル様を見かけただけです。 そして、ちょうどこの城壁から見える遠くの方で、ニスタル様が森の中へ墓場の方面へ向かわれるのを目にしました。』

『恩に着るよ』デュプレはジョフリーが待ち構えている中庭へ向かって、階段を稲妻のように駆け降りていった。

『まだ起きてなかったのか?』ジョフリーは驚いた風も見せずに訊ねた。

『いや、それが…』

ジョフリーは納得させようとデュプレの肩に手を乗せて言った。『デュプレ、おまえの見た夢はつまり、ただの夢ということさ』

『ああ、そうならいんだが…。しかし、これは放っておくわけにはいかない。彼の身に危険が迫っているのは間違いない』デュプレは続けた。『せめてニスタルの後を追ってみようじゃないか』

ジョフリーはうなずくと、2人は旧友を求めて歩き始めた。





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