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ローカルニュース

正しさの向こう側

投稿日:2002年12月16日


Asuka


ブリタニア、ロストランド両地域のエレメンタル異常発生は、マジンシア・メイジギルドによって調査され、下記のとおり報告されています。

                              記

エレメンタル異常発生は、100年に一度の確率で起こる異常気象によるものであり、現在は収束、回復した模様である。

以上の通り、エレメンタルの異常発生は収束しました。生産者の皆様、脅威は去りました。安心して下さい。






ブリテインの街
「・・・というのが今件についての全経緯です。よって、元ラマ協会支部長マイコス(Mikos)、ならびに元トリンシック衛兵書記官エリス(Elyse)は当局の指示を無視し、かつ妄りに混乱をもたらした者として各都市に手配。同時に今件についても伝達されるでしょう」リーランド(Leland)が言い終わると、会議室は静まり返った。全員がマジンシアから出向してきたメイジギルドの男の様子を見ていた。男は長い時間うつむき、何かを黙考していたかと思うと、唐突に片手を挙げて「リーランド君」と静かに言う。

「なんでしょう」
「私のところへ寄せられた情報によれば、君はその手配犯二名の行動を暗に手助けし たと聞くが、まさかそのような事をしてはいないだろうね?」
「もちろんです」なんの気苦労もなく答えられた事が、リーランド自身にとっては一番の驚きだった。
「よろしい。ではこの会議は終わりとしよう。ガードの皆さん、お疲れ様でしたな。リーランド君。後の手配、抜かりないよう頼むよ」男は尊大に言うと、一人でさっさと会議室を出て行った。後に残るガードの面々は、苦渋の面持ちしかしていない。この会議はとても不毛なものだった。

今回の騒動には、マジンシアのギルドが深く関わっていた。いや、関わっていたどころではない。まさに主犯と言える。しかし今リーランドが終らせた会議で報告した事は、全く違った。この会議の中ではギルドの名前すらでて来なかった。代わりに、変わり者扱いされた二人の男女が滑稽な踊りを踊らされた。もう一人の少女など名前も出ない。これが果たして正しい事なのだろうか?それはエレメンタル対策室の解散を告げた時から、思っていた事だった。時には感情を廃し、合理的に人々の平和を守らなければならないガードの職務。しかし今、その理念は大きな虫に喰われていた。『独善』と呼ばれる大きな虫に。

ある女性が言った。「あんたは何のためにガードになったの」何のためだっただろう。その時の自分は、今の自分を受け入れてくれるだろうか。いや、今の自分はどうなのか。
「さて、終ったのなら私は失礼するよ」会議の出席者達が席を立つ。
「お待ちください」彼がそう言ってしまったのは、何故だったのだろう。
「なんだね」
「本当にこれでよろしいのですか?」翌日、リーランドは愛用のクーロズヘルムを脱ぐ事となる。




マジンシアの街
マイコスはマジンシアの大通りを練り歩いていた。片手には酒。片手にはパックラマの手綱を握り締めて、酔いに任せて右往左往しながら練り歩く。すれ違った貴族の男が哀れみと疑惑の目を向けて来たが、彼はそれをまったく無視して突き進む。途中、宿屋立ち寄って壁に貼られた手配書とお知らせを見て、彼は叫んだ。
「ざけんなよ」そこにあったのは、全くの嘘の報告。
「しかも指名手配だと、こんちくしょう」こうなると、対策室発足から始まった全ての事が嘘のように思えてきた。

初めて顔を合わせた日。笑い、泣き、発見に驚いた日々。クックル(Cuccle)を海賊の町の地下で見つけた瞬間。そしてそれらが消えた時。しかし、それは間違いなく存在した。酩酊とした意識で気を奮い立たせ、彼は自分の心を再確認する。彼はエリスとある約束をしてから、しばらく身を隠していた。念のためにリーランドにも伝えておいたが、脈はないだろう。約束の日まで、あと数日。もうそろそろ頃合だった。酒場に到着すると、マイコスは店内を見回す。果たして、男がいた。男−ゾーン(Zorn)と名乗った−もマイコスを見つけると満面の笑顔で歩み寄ってきて、握手を求めてきた。

「あなた方のお陰で、全て無事に解決しました。残念な結果ではありましたが・・・」
「ほー」
「当ギルドで暗躍していた幹部はガードによって一掃されましたし、快方へと向かうでしょう」ゾーンが求めてきた握手をマイコスは無言で断り、男の目を凝視する。
「それで、次の幹部はどこのどちら様がなるんだ?」
「それがどうも私がなる予定で・・・」ゾーンが嫌がり視線を背けても、強引にその眼の奥を見ようとするマイコス。そして、その奥に一つの淀みを見つけた。
「そうか、そりゃおめでとさん」
「ありがとう・・・ございます・・・」
「餞別だ、受け取れ」
「え?」男が皆まで言い終わるのを待たず。マイコスは右手の酒瓶を、ゾーンの脳天に向けて振り下ろす。景気の良い音。砕け散るガラスに飛び散るエール。その衝撃に、ゾーンが昏倒として彼に倒れこもうとした瞬間、マイコスが避けた。その先には男に尻を向けて、後ろ足を天井高く振り上げようとする一匹のパックラマ。派手な音と共にゾーンは吹き飛び、幾つかのテーブルを飛び越えてカウンターで頭を打って意識を失った。多少血が出ているが、あの程度で死ぬ事はないだろう。
「また同じ事を繰り返しやがったら、その程度じゃすまねぇ。覚えとけ!」たんかを切ったマイコスがふと見ると、突然の暴力沙汰にマジンシアの夜を満喫する客たちがざわめき立てていた。マイコスは、まるで何事もなかったかのように、観衆に右手を上げて一礼する。
「皆さんの明日がよい日であります様に!」外が騒がしい。どうやらガードが近づいているようだ。いや、ギルドか?あの男はなにやら言っていたようだが、どちらにしろお縄になるのはゴメンだった。マイコスとパックラマの姿がマジンシアの闇夜に紛れ込む・・・。




ベスパーの街
クックルとの別れ。それはエリスにとって酷く残酷ではあったが、同時に彼女に何かを学ばせた。例えばそれは、彼女がガードになって得ようとした答えなのかもしれない。しかし彼女は当局の意向に逆らい捜査を続けた。その行為はガードになるという道を破滅させるに等しく、この国での身の自由すら危ういものとさせた。その状況に多少の変化が現れ、手配が解除された。そんな話も聞いたが、どちらにしろ彼女はガードに戻るつもりはない。彼女はそれで満足だった。自分がやるべき事はやったつもりだから。

旅立ちの数日前に、彼女は恩人の墓へと参った。彼の墓があるベスパーの協同墓地は訪れる者も少なく、アンデッドの徘徊もあって荒れる一方。しかしそこは・・・クレイ(Cray)と刻まれた墓だけは小奇麗なものだった。彼女はその前に花を添え、せめて形だけでもと身に纏ってきた女性ガードに似せた皮鎧姿を彼に見せ、ここ数ヶ月にあった事を伝える。様々な出会い。不運と幸運。死を覚悟した瞬間。そして身を斬られるような現実。彼女が何を知り、彼に何を語ったかは彼女以外誰も知らない。でも、最後に彼女が彼の前で泣いた事だけは事実だった。

木々が風と歌う中、彼女は立ち上がる。まだ、多少の迷いはあったが、いつまでもこうしてはいられない。でも。せめて、最後にこれだけは伝えたかった。
「ありがとうクレイ。そして…さよなら」その瞬間、いっそう強く吹く風。それに合わせて葉をこすり合わせる木々たちの合唱。それが聞こえたのは、気のせいだろうか?いや、多分そうなのだろう。彼女は納得し、微笑む。彼らとの待合場所へと向かうエリス。これで、この国とはさよならだ。帰ってくる事は・・・ないかもしれない。でも、彼女の表情にも心にも、すでに迷いはなかった。その瞬間に聞こえた言葉は、魔法を封じられた彼女が手に入れた、笑顔の呪文だったから。
「さようなら、エリス」




私は自由だった。水を撫で、炎に息吹き、大地を跳ねて、風となる。そう、まるで風のように。そして今、私はここにいる。これまで何があっただろう。思い出せなかった。とっても悲しい事があったような気がするけど、今はそれを感じない。とっても寂しかったような気もするけど、そんなのは嘘だった。だって、ほら。
「さて、出発するぞ」広大な新天地。その片隅にある小さなジプシーキャンプで。ラマを引き立てた男が言うと、皮の鎧に身を包んだ黒髪の女はあからさまに不満げに口を尖らせた。
「ハァ・・・ガードといってもラマのガードなのね。最低だわ・・・」
「ははは、そう毒つくな。守るものが在るんだから立派なガードだろ」男の屈託のない笑顔に、女は嫌そうに。でもちょっと太陽のような笑顔を向ける。
「・・・ま、いっかぁ」あてのない旅だった。なにせこの場にいる全員が初めての土地。エスコート役もおらず、土地に詳しいものもいない。危険もたくさんあると聞く。命を掛けねば通る事の適わない渓谷もあると聞く。でも、心底から文句を言うものは誰もいなかった。誰もが、自分の意志でそこにいる結果だからだ。

「でもさぁ、あんたの素顔ってなかなかいけてるよね。ふっふっふ」黒髪の女が、隣のフルプレートを身につけた痩身の男に言った。妙な含み笑いに、痩身の男は瞬時に顔を赤くして「……なっ」と悶絶する。
その様をみた黒髪の女はケラケラと笑って「あはは赤くなっちゃって。恥ずかしがり屋?ああだから鉄仮面被ってたのね」となにやら一人納得していた。痩身の男は返す言葉もないようで、口をパクパクさせる。まったくもって、元の立場が逆転しているようだ。もしかしたら、積もり積もった恨みを晴らしているのかもしれない。ラマを連れた男は、そんな痩身の男に同情したのか、苦笑を浮かべている。
「こらこら。いい加減にしろ。それにラマを馬鹿にするな、いいかラマというのは・・・」
「あぁ、もう。わかったからラマの話はやめて。ただでさえ長いんだし、おまけにつまんないんだから」

その時。
「ん?鉄仮面・・・じゃなかった。どうしたの」痩身の男がふと後ろを振り向いた。
「いや、誰かに見らてる気がしたんだが・・・」二人が、その言葉につられて、後ろを見る。そこにあるのは小さなジプシーの移動集落。その奥には小高い山。手前では先ほど成敗したインプが仰向けにひっくり返っている。それだけだった。ラマの男と黒髪の女は顔を見合わせると、ため息を大きく吐く。
「また始まったよ、この臆病もの・・・」一度に言われて、それでも痩身の男は振り返らない。そこに、大事な何かを忘れてきたかのように。

彼らは、とっても楽しそうだった。それにとっても懐かしい。彼らは向かう。新しい場所へ。束縛されない自身を求めて。それがちょっとうらやましい・・・。
「私も行こうか」そう呟いてみたい。
「一緒に」

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