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[BNN] ワールドニュース
前へ 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 次へ スカリスの出現(Rise of the Scalis) - 2 - [ワールドニュース] 投稿日:10.15 「……マストだ」 その一言が心に届き、ぎくりとしたアブラム(Abram)は眠りから飛び起きた。老いた片目の船乗りは、その目に手をかざしつつ若い船乗りを見つめ、彼が今なんと言っていたのか思い出そうとした。 「マストだと?」アブラムの全身の血管をアドレナリンが駆け巡りだした。海上の屑拾いを生業とするこの二人がニュジェルム(Nujel'm)の港を出港したのは、およそ一週間も前のことだった。不釣り合いなボロ船の船上でブリタニアの海を漂流していても、この仕事をやめる気などちっとも起きることはなかった。唯一の生存者が数日前に死んだ漂流船、サイレイン号が最後に確認された座標。二人はそれを首尾よく入手していたのだ。ブリタニア海事法の下では、こういった漂流船を最初に発見し、権利請求を行えば、船倉の品々も一緒に手にすることができるのだ。 スカリスの出現(Rise of the Scalis) - 1 - [ワールドニュース] 投稿日:10.13 冷雨 - [ワールドニュース] 投稿日:10.09 暗雲 - [ワールドニュース] 投稿日:10.07 享楽と雨 - [ワールドニュース] 投稿日:10.02 目覚め - [ワールドニュース] 投稿日:09.22 暖かなソーサリアの太陽の光は、軽やかに波にのって走る帆船のデッキに降り注いでいた。空高くまで漂う霧は心地よい潮の香りに満ち、自由の時への追憶にふけるアベリー(Avery)の顔を優しくなでていた。船を先導して飛ぶカモメは、時折嬉しそうにギャーギャー鳴いては水に飛び込み、イルカに追い立てられたイワシの一群から一匹を捕まえてくるのだった。 この元ガード隊長(Captain of the Guard)が素晴らしく穏やかな海を心から楽しめるようになってから、もう何年もが過ぎていた。この海と共に純然たる楽園と自由がもたらされたのだ。彼が本当に心安らぐことができるのは、ここだった。政治家もいない、闘士もいない、欲する人々もいない所。看守もいない……。 古き剣の正しき使い道 - [ワールドニュース] 投稿日:08.06 ソーサリアは眠る - [ワールドニュース] 投稿日:07.21 失ったもの、見つけたもの(Lost & Found) - 4 - [ワールドニュース] 投稿日:07.08 ねずみのシェリー(Sherry the mouse)が王座の間を横切って慎重に足を進めていくのを、身じろぎもせずに女王のエリートガードが見つめていた。彼らはのどを保護するためのマスクを着用していた。あたりには埃と粉塵がうっすらと漂っているのだから、これは驚くに値しない。しかし城の人々の間ではこういった当たり前の事が、大したことではないと思われているらしい。みんながなんと言おうと、わたしは気にしないわ。あのマスクのどこがあごヒゲに見えるっていうの? それに牙にだって見えないわよ。それにしても、この部屋の散らかりようと言ったら本当にひどいわ。可笑しくなって、思わずほおヒゲがぴくっと動く。人間って、いつもねずみの穴を駄目にしちゃうのよね。 |